債権譲渡なら、売掛先との関係が消えてはいけない
2社間ファクタリングでは、売掛先に知られないことが取引の特徴として説明されることがある。
しかし、売掛先に通知しないことと、売掛先との関係が取引から消えることは同じではない。
そもそも譲渡されたとされるのは、利用者が持っていた売掛債権である。そうであれば、その債権が本当に取引の中心になっていたのかは、実際の取引を見る上で重要になる。
ところが、実際の運用を確認すると、業者と利用者との間だけで金銭のやり取りが完結しているように見える場合がある。
業者が利用者に資金を渡す。
その後、利用者が業者に一定額を支払う。
売掛先から実際にいくら入金されたのかとは別に、利用者との間で支払額や支払期日が管理される。
このような取引であれば、当然ながら一つの疑問が生じる。
その取引で、本当に売掛債権が中心だったのか。
売掛先からの入金と利用者の支払いを切り離してはいけない
ここで重要なのは、実際の入金関係である。
売掛先から予定どおり入金された場合に、利用者がその金銭を業者へ渡すことは、債権譲渡の回収として説明できる可能性がある。
しかし、売掛先からの入金がなかった場合にも、利用者自身が業者に支払わなければならないのであれば、話は変わってくる。
さらに、その支払いが「売掛債権を回収できたから支払う」というものではなく、「契約で決められた期日だから支払う」という形で行われているのであれば、その違いは無視できない。
ここで見るべきなのは、契約書に書かれた言葉ではない。
実際に何が起きたとき、誰から誰へ金銭が移動したのかである。
売掛先が支払ったから利用者から業者へ金銭が移ったのか。
それとも、売掛先がどうであろうと利用者自身が業者へ支払うことになっていたのか。
この二つは、外形だけを見れば似ているようでも、取引の構造は大きく異なる。
「売掛先に知られない」は、実態を説明する言葉にはならない
2社間ファクタリングでは、売掛先への通知を行わないことが取引上の特徴として説明される。
しかし、ここを「2社間だから利用者と業者だけを見ればいい」と考えてしまうと、債権譲渡という取引そのものを見失う。
通知しないことと、売掛先が存在しないことは当然違う。
売掛債権を譲渡したのであれば、その債権から生じる入金が実際にどのように扱われていたのかを確認しなければならない。
売掛先からの入金が取引の中心にあるのか、それとも利用者から業者への支払いが中心になっているのか。
この違いを確認することは、2社間ファクタリングの実態を事実として把握する上で重要である。
「2社間だから利用者が業者に支払うのは当然だ」と最初から決めてしまえば、まさに確認すべき事実を確認しないことになる。
本当に譲渡された債権を回収していたのか
さらに踏み込むなら、実際に業者が取得したとする債権について、どのような回収をしていたのかを見る必要がある。
売掛先から入金された金銭を利用者が受け取り、それを業者へ渡していたのであれば、その金銭がどのような根拠で業者に渡されたのかを確認できる。
一方で、売掛先からの入金とは関係なく、あらかじめ決められた金額を利用者に支払わせていたのであれば、その支払いが何を意味するのかを確認しなければならない。
ここでも、最初から「だから貸金だ」と結論を出す必要はない。
まず、
業者が取得したと主張する債権は、実際の取引の中でどのように扱われていたのか。
この事実を明らかにする。
そして、その答えが「実際には売掛先との債権回収よりも、利用者からの金銭回収が取引の中心だった」というものであれば、その事実は決して小さくない。
それは単なる契約後の事務処理ではなく、取引そのものがどのように機能していたのかを示しているからである。
債権を買ったというなら、その債権を見せる必要がある
結局、非常に単純な問題に行き着く。
業者は「売掛債権を買い取った」と言っている。
ならば、その取引の中で、その売掛債権がどのような役割を果たしていたのかを見るべきである。
売掛先からの入金がどう扱われたのか。
売掛先が支払わなかった場合にどうなったのか。
利用者の支払い義務は、売掛先の支払いと連動していたのか。
それとも、売掛先とは関係なく利用者自身に支払い義務が発生していたのか。
これらを確認すれば、契約書に書かれた「債権譲渡」が、実際の取引の中心だったのか、それとも別の金銭関係を形式上説明するために置かれていたものなのかが見えてくる。
だから、2社間ファクタリングの事実認定で「2社間だから仕方がない」という説明を安易に受け入れてはいけない。
通知しないことと、債権が取引の中心でなくなることは別問題である。
債権を買い取ったというなら、その取引の中で本当に債権が動いていたのかを見ればいい。
そして、そこを確認した結果、売掛先との債権関係よりも利用者からの定額の支払いが取引の中心になっていたのであれば、その事実を契約書の形式だけで消すことはできない。
実態を見るというのは、難しい理屈を持ち出すことではない。
誰の債権を、誰が取得し、誰から、何を根拠に、どのように金銭を回収していたのか。
そこを事実として確認することである。

