なぜ債権の回収とは別に期日が存在するのか
2社間ファクタリングの取引を見るとき、意外に重要なのが「いつまでに支払うのか」という問題である。
債権譲渡であるなら、基本的に問題となるのは譲渡された売掛債権がいつ、どのように回収されるのかである。ところが、実際の契約や運用において、売掛先からの入金とは別に、利用者に対して「○月○日までに支払う」という期限が設定されていることがある。
ここで確認しなければならないのは、その期日が何を意味しているのかである。
売掛先の支払期日と一致しているのか。
それとも、売掛先の支払いとは別に、利用者自身の支払期日として設定されているのか。
この違いは小さくない。
なぜなら、同じ「支払期日」という言葉でも、誰の、何に対する支払いなのかによって、その意味は全く違うからである。
売掛先の支払期日と利用者の支払期日は同じなのか
売掛債権を買い取ったのであれば、売掛先がいつ支払うのかは取引上重要になる。
ところが、そこで業者が利用者に対して別の支払期日を設定していたとする。
しかも、その期日になると、売掛先から実際に入金されたかどうかとは別に、利用者に支払いを求める。
この事実が確認できるのであれば、その支払期日が何のために設定されていたのかを明らかにする必要がある。
「契約上そうなっているから」という説明だけでは足りない。
契約上そうなっていること自体は確認できる。
しかし、裁判で問題になるのは、その契約条項が実際にどのように運用されていたのかである。
売掛先の支払いを待つのではなく、利用者に決められた期日までの支払いを求める。
その期日を過ぎれば、利用者に対して督促する。
そうであれば、その支払期日は単なる事務上の期限なのか、それとも利用者に対する金銭債務の履行期として機能していたのか。
ここを事実として確認しなければならない。
期日を過ぎたとき、誰を追及したのか
さらに重要なのは、支払期日を過ぎた後の業者の行動である。
売掛先からの入金がまだないのであれば、債権を買い取った業者として売掛債権の回収状況を確認すること自体は不自然ではない。
しかし、そのとき業者が売掛先ではなく利用者に対して「支払ってください」と要求していたのであれば、その行為は事実として確認されなければならない。
特に、その要求が単なる連絡ではなく、利用者自身の支払い義務を前提として行われていたのであれば、その意味はさらに大きくなる。
「売掛先からまだ入金されていません」という話と、「あなたが約束した金額を支払ってください」という話では、全く違う。
前者は債権回収の問題である。
後者は利用者自身の金銭支払いの問題である。
この違いを曖昧にしてはいけない。
支払期日は、取引の性質を考える手掛かりになる
もちろん、支払期日が設定されているという一事だけで、その取引が貸金になるわけではない。
しかし、支払期日を中心として実際の取引が動いていたのであれば、その事実は重要である。
例えば、業者が資金を交付した時点で利用者に支払期日を示し、その期日までに一定額を支払うよう求め、期日が来れば利用者に支払いを催促し、支払われなければ延滞として扱う。
このような運用が実際に行われていたのであれば、その取引が何を中心として設計されていたのかを確認する必要がある。
売掛債権の回収を中心に動いていたのか。
それとも、業者が利用者に資金を交付し、その利用者から決められた期日に金銭を回収することを中心に動いていたのか。
この違いは、契約書の名称だけでは分からない。
実際の支払期日と、その前後に行われた行為を見ることで初めて分かる。
「期日」という一語で済ませてはいけない
2社間ファクタリングの契約書に「支払期日」と書いてあったとしても、それだけで事実認定を終わらせるべきではない。
誰が支払うのか。
何を支払うのか。
何を基準にその期日が決められたのか。
期日までに支払われなかった場合、誰に対して何を要求したのか。
そこまで確認して初めて、その「期日」が取引の中でどのような意味を持っていたのかが分かる。
そして、そこから見えてくる事実が、契約書に書かれた債権譲渡の形式と食い違っているのであれば、その食い違いを無視することはできない。
「支払期日があった」という事実ではなく、「その期日が誰に対する、何の支払いのために機能していたのか」。
見るべきなのはそこなのである。
2社間ファクタリングの実態を明らかにするなら、契約書の名称や条項を眺めるだけでは足りない。
期日が来たとき、業者が実際に誰に対して、何を支払うよう求めたのか。
そこには、契約書の形式だけでは隠すことのできない、取引の実際の姿が現れる。

