取引が終わった後を見る
2社間ファクタリングの実態を考えるとき、契約を締結した瞬間や資金が交付された時点だけを見る必要はない。
むしろ、契約が終了した後に何が残ったのかを見ることで、その取引が実際にはどのような関係だったのかが見えてくることがある。
本当に売掛債権の売買だったのであれば、その債権についての権利関係が処理されれば、当事者間の金銭関係もそこで整理されるはずである。
ところが、契約終了後も利用者に対する金銭請求が残っているのであれば、その請求が何を根拠としているのかを確認しなければならない。
ここで問題になるのは、単に「請求が残った」という事実ではない。
何が終わったのに、何の支払いだけが残ったのか。
そこを見る必要がある。
債権が消えても利用者への請求が残るのか
例えば、利用者が業者へ売掛債権を譲渡した。
その後、何らかの理由でその取引を終了させることになった。
その時点で売掛債権についての処理が終わったにもかかわらず、利用者に対する一定額の支払いだけが残っているのであれば、その金銭が何なのかを確認する必要がある。
それが本当に債権の処理に伴う精算なのか。
それとも、業者が利用者に交付した金銭について、利用者自身が後から支払うべき金銭として残っているのか。
形式上の説明がどうなっているかだけではなく、実際に何が残っていたのかを見る。
取引の終了時点は、契約の内容を検証する上で重要な場面になる。
契約終了によって誰の義務が消えたのか
ここでは、契約開始時とは逆方向から取引を見ることができる。
契約を始めるときには、業者が利用者に金銭を交付する。
契約を終えるときには、その金銭関係がどのように清算されたのかを見る。
もし売掛債権を譲渡したことによって利用者の権利義務が整理されるのであれば、その結果として何が消滅したのかを確認できる。
ところが、契約終了後も利用者に対する支払い義務が残り、その支払いが完了するまで業者との金銭関係が終わらないのであれば、その義務が何に由来するのかが問題になる。
これは非常に単純な確認である。
「この契約は終了しました」と言われたとき、
では、利用者はその時点で何も支払う必要がなくなったのか。
それとも、
契約は終了したが、利用者が業者へ支払うべき金銭は残っているのか。
この違いを明らかにする。
契約終了後の請求には、根拠が必要になる
業者が契約終了後も利用者に金銭の支払いを求めているのであれば、その請求の根拠は当然問題になる。
契約上の違約金なのか。
精算金なのか。
損害賠償なのか。
それとも、当初交付した金銭に対応する支払いなのか。
ここで重要なのは、名称をそのまま受け入れないことである。
「精算金」と書いてあれば精算金になるわけではない。
その金銭がなぜ発生し、どの計算によって金額が決まり、誰が誰に対して支払うことになっているのかを確認する必要がある。
例えば、契約終了時に利用者が受け取った金額とほぼ対応する金額の支払いを求められていたのであれば、その金銭関係を確認する意味は大きい。
その請求が売掛債権の処理から生じたものなのか、それとも資金交付との関係で発生しているのか。
そこを事実として確定していく。
「終わったはずの取引」が終わっていない
ここに、事実認定上の重要な視点がある。
契約書上は債権譲渡が終了している。
しかし、利用者には金銭の支払いが残っている。
そうであれば、「契約が終了した」という一つの言葉だけで取引を終わらせてはいけない。
何が終了したのかを見る必要がある。
債権の譲渡関係が終了したのか。
業者と利用者との金銭関係そのものが終了したのか。
この二つは同じではない。
契約書の形式では一つの取引が終了していても、実際には利用者が業者へ金銭を支払い続ける関係が残っているのであれば、その関係がどこから生じたのかを確認する必要がある。
そして、その関係が当初の資金交付と結び付いているのであれば、取引全体を改めて見直す必要が出てくる。
最後に残ったものが、取引の性質を照らす
取引の開始時には、業者から利用者へ金銭が渡される。
取引の途中では、利用者に一定の支払いが求められる。
そして取引を終えた後に、最終的に何が残ったのかを見る。
この最後の部分を確認すると、それまで見えにくかった金銭関係がはっきりすることがある。
もちろん、契約終了後に請求が残っているという事実だけで、直ちに貸金であると判断することはできない。
しかし、その請求が何を根拠として発生し、最初の資金交付とどのようにつながっているのかは、事実として確認しなければならない。
契約書の表紙ではなく、最後の一円がどのような理由で動いたのかを見る。
そこまで確認して初めて、取引全体の金銭関係が見えてくる。
2社間ファクタリングの実態を問題にするのであれば、「債権を譲渡した」という最初の形式だけを見るのでは足りない。
その取引が終了したとき、誰と誰の間に、どのような金銭関係が残っていたのか。
そこまで見て初めて、その取引が本当に何だったのかを検討することができる。

