金銭の名目だけでは取引の性質は確定しない
2社間ファクタリングでは、利用者に交付される金銭を「債権の買取代金」と説明する。
確かに、売掛債権を本当に買い取っているのであれば、その金銭は売買代金になる。
しかし、ここで問題にすべきなのは、「売買代金と呼ばれているか」ではなく、実際に何の対価として交付された金銭なのかである。
売掛債権の売買代金として交付されたのであれば、その後の金銭関係も売買を前提として説明できるはずである。
ところが、契約書上は売買代金でありながら、その金銭について利用者から一定期間後の支払いが予定され、その支払いを業者が当然のものとして扱っているのであれば、その関係を改めて確認する必要がある。
交付された瞬間だけを見るのでは足りない
金銭の性質を判断するとき、交付時点だけを見るのは危険である。
例えば、業者が利用者へ100万円を交付したとする。
その時点では「債権買取代金100万円」と説明されている。
しかし、その後の取引を見ると、利用者が一定期間後に業者へ120万円を支払うことになっている。
この場合、120万円の支払いが何によって発生したのかを確認しなければならない。
単純に「120万円だから貸金だ」と決めることもできない。
反対に、「最初に100万円を売買代金として交付したから、それ以上は問題ない」として終わることもできない。
交付と支払いを一つの取引として見て、その間にどのような関係が形成されていたのかを確認する必要がある。
重要なのは金銭の往復である
取引を見るとき、一方方向の金銭の移動だけを取り出しても全体像は見えない。
業者から利用者へ金銭が移動する。
その後、利用者から業者へ別の金銭が移動する。
この二つの金銭移動がどのような原因によって結び付いているのかを確認する。
本当に別々の取引として存在しているのか。
それとも、最初に交付された金銭と後から支払われた金銭が、実質的に一つの金銭関係として結び付いているのか。
ここが事実認定の重要なポイントになる。
「差額」が何を意味するのか
さらに、交付額と後の支払額に差がある場合、その差額についても確認する必要がある。
それが純粋に債権の売買価格として説明できるのか。
それとも、金銭を利用していた期間や金額に応じて増加しているのか。
その差額がどのような計算方法によって決められていたのか。
契約書に「手数料」と書かれているのであれば、その手数料が実際に何に対する対価なのかを見る。
「手数料」という名前だけでは、その金銭の性質は確定しない。
もちろん、ファクタリングに手数料が発生すること自体がおかしいわけではない。
だからこそ、その手数料が何に対するものなのかを具体的に確認する必要がある。
取引全体を一つの経済関係として見る
ここで重要になるのが、取引を細かく分解しすぎないことである。
契約書には「債権譲渡契約」と書いてある。
別の書面には「手数料」と書いてある。
さらに別の書面には「精算」と書いてある。
これらを一枚ずつ別々のものとして見ていけば、すべて異なる名前の取引として処理できる。
しかし、現実には、それらが一つの取引として連続している可能性がある。
だからこそ、
契約を結び、金銭が交付され、その後どのような金銭が業者へ戻っていったのか
という一連の流れを見る必要がある。
個々の書類の名称だけではなく、その書類同士が現実の取引の中でどう結び付いていたのかを確認するのである。
名前を付けることと、性質を決めることは違う
「買取代金」という名称は、取引の説明として使うことができる。
しかし、それは取引の性質を自動的に確定させる魔法の言葉ではない。
本当に債権の売買代金であれば、その前提となる債権譲渡が実際に行われ、その売買に対応する金銭関係として説明できるはずである。
反対に、契約書上の名称とは別に、交付された金銭とその後の支払いが一つの金銭関係として動いているのであれば、その事実を確認しなければならない。
「売買代金」と書いてあるから売買代金なのではない。売買代金として交付されたことが、取引全体の事実関係から確認できるかが問題なのである。
この確認を飛ばして契約書の名目だけを採用すれば、結局のところ、実態ではなく形式だけを見て判断することになる。
2社間ファクタリングの実態を問うのであれば、最初に交付された金銭と、その後に動いた金銭を切り離さず、一つの取引として何が行われていたのかを確認する必要がある。

