2社間ファクタリングの実態を確認するとき、個別の契約を一件ずつ切り離して見るだけでは、見落とすものがある。
もちろん、一件の取引について何が行われたのかを確認することは必要である。しかし、その取引が単発ではなく、同じ利用者との間で繰り返されていたのであれば、取引全体の経過を見ることで初めて分かる事実も存在する。
最初の取引ではどうだったのか。
その後、利用者が再び資金を必要としたとき、業者はどのような条件を提示したのか。
さらに次の取引では何が変わったのか。
こうした経過は、一枚の契約書からは読み取れない。
繰り返された取引には、その業者の運用が表れる
一件だけを見ると、たまたまそうなったように見える事実もある。
しかし、同じ業者と同じ利用者との間で取引が何度も行われ、そのたびに同じような処理がされていたのであれば、それは単なる偶然ではなく、その業者が通常どのように取引を運用していたのかを考える材料になる。
ここで重要なのは、「何回同じことがあったから違法だ」という単純な話ではない。
繰り返された取引について、それぞれの事実を確認する。
そして、個々の取引に共通する部分と、異なる部分を見ていく。
そうすることで、個別の契約書だけでは分からなかった取引の仕組みが見えてくる。
一回目と二回目で何が変わったのか
特に注目すべきなのは、取引が継続した場合の変化である。
最初の契約では、利用者は業者からどのような説明を受けたのか。
その後、二度目の取引では、どのような説明がされたのか。
さらに取引が続いた場合、利用者に対する請求や支払いの扱いは変化したのか。
ここで、最初の契約だけを見ていては分からない事実が出てくる可能性がある。
例えば、当初は一つの売掛債権を対象としていたものが、次第に複数の債権を前提として資金交付が繰り返されるようになったのであれば、その経過自体を確認する必要がある。
重要なのは、取引回数そのものではない。
取引が続く中で、当事者間の金銭関係がどのように変化していったのかである。
継続取引では「前の取引」が次の取引に影響する
一度取引をした後に、同じ利用者が再び同じ業者を利用することがある。
その場合、二回目の取引は完全に独立しているとは限らない。
前回の取引について何らかの支払いが残っていれば、それが次の取引とどのように関係したのかを確認する必要がある。
新たな債権を対象に新しい取引をしたのか。
それとも、前の取引との間で金銭的な調整が行われたのか。
新しい資金が交付された一方で、以前の取引に関する金銭が同時に処理されていたのか。
こうした経過を確認しなければ、個々の契約書だけでは分からない金銭関係を見落とすことになる。
業者の「通常のやり方」が見えてくる
継続して取引が行われている場合、もう一つ重要な意味がある。
それは、業者がその取引をどのように扱っていたのかが、繰り返し現れることである。
一度だけ発生した特殊な処理なのか。
それとも、別の契約でも同じように行われていたのか。
同じ業者が複数の取引で同じ処理をしているのであれば、それはその業者の取引方法を理解するうえで重要な事実になる。
もちろん、それだけで個々の取引の法的評価が決まるわけではない。
しかし、一件の特殊な出来事なのか、業者が継続的に行っていた処理なのかでは、事実の意味は大きく違ってくる。
後から説明された「例外」と実際の運用
ここで、業者側から「その取引だけ特殊な事情があった」と説明された場合も、その説明をただちに否定する必要はない。
その説明が事実なら、その事実を認定すればよい。
しかし、他の取引を確認すると同じ処理が繰り返されていたのであれば、「特殊な事情だった」という説明そのものを検証する必要が出てくる。
一件だけを見れば例外に見える。
ところが、複数の取引を並べると、それが例外ではなく通常の運用だった可能性が出てくる。
ここに継続取引を確認する意味がある。
一件の契約書から、取引全体の事実へ
事実認定では、一件の契約書を細かく読むことも必要である。
しかし、それだけでは足りない場合がある。
同じ当事者の間で取引が続いているなら、その前後関係を見ることで、個別の契約書には書かれていない事実が明らかになることがある。
最初の取引がどのように始まり、その後どのように継続し、最後にどのような形で終わったのか。
その経過を確認することで、個別の書面だけを見た場合とは違う取引の姿が浮かび上がる。
そして、その全体像を確認したうえで、個々の契約について改めて見る。
一件の契約書から取引を判断するのではなく、取引の連続性そのものを事実として確認する。
それによって初めて、その業者が実際にはどのような方法で2社間ファクタリングを運用していたのかを検討できるのである。

