ファクタリング業者に会社の情報を渡しすぎてはいけない

ファクタリングのトラブル

「審査に必要です」で始まる情報提供

ファクタリング業者から電話がかかってきた。

「売掛金があればすぐ資金化できます」

「まずは無料で審査します」

「必要書類を送ってください」

そう言われると、資金調達のためには資料を出すのが当然だと思うかもしれない。

しかし、ここで一度立ち止まる必要がある。

会社の決算書、通帳、売掛先、請求書、入金予定、取引状況など、企業の内部情報を外部の業者へ渡すことになるからだ。

しかも、一度渡した情報は取り戻せない。

だからこそ、「審査だから」と言われただけで、何でも提出してはいけない。

資金調達を必要としていないなら、なおさらである

特に注意したいのは、まだ資金繰りに困っていない企業への営業である。

「今は利用しなくてもいいので、審査だけ」

「今後のために登録しておきましょう」

そんな電話から始まり、会社情報の提出を求められる。

しかし、そもそも現在ファクタリングを必要としていないのであれば、なぜ自社の財務情報を渡す必要があるのか。

必要が発生していない段階で、決算書や通帳などを業者へ渡す理由はない。

「無料審査だから」

「登録だけだから」

「将来のためだから」

その言葉だけで安心してはいけない。

必要のない段階で、必要以上の情報を渡さない。

これはファクタリングに限らず、会社を守るうえで当然の姿勢である。

会社の弱点まで知られてしまう

財務資料には、会社の状態がかなり具体的に表れる。

売上規模だけではない。

資金繰りの状況、借入、売掛金、主要取引先、入金サイトなど、外部には知られたくない情報も含まれている。

業者からすれば、これらは単なる審査資料ではない。

利用者がどの程度の資金を必要としているのか。

どの程度の売掛金を持っているのか。

どの取引先からいつ入金されるのか。

どの程度まで資金調達を必要としているのか。

そうした情報まで把握できる。

だから、安易に情報を渡すべきではない。

「売掛金があるなら使えます」は営業の理由にならない

ファクタリング業者からすれば、売掛金を持つ企業は営業対象になり得る。

しかし、売掛金があることと、ファクタリングを利用する必要があることは全く違う。

売掛金があるからファクタリングを使う。

そんな単純な話ではない。

本当に資金調達が必要なのか。

他の方法はないのか。

その資金調達によって会社にどのような負担が生じるのか。

そこまで考えてから判断すべきである。

業者から「使える売掛金があります」と言われても、それは業者側から見た話でしかない。

売掛金を持っていることと、売らなければならないことは別である。

情報を渡した後に営業が激しくなることもある

一度資料を提出すると、業者側は会社の状況をかなり把握できる。

すると、営業の内容も変わる可能性がある。

「この売掛金なら資金化できます」

「この金額ならすぐ出せます」

「この取引先の売掛金を使いませんか」

最初は一般的な営業だったものが、自社の具体的な数字を前提にした営業になる。

ここまで来ると、単純に電話を切って終わりにはしにくくなる。

自社の事情を知られているからだ。

だからこそ、最初の段階で情報を出しすぎないことが重要になる。

断っているのに資料提出を迫る業者には注意する

「今は必要ありません」と伝えている。

それなのに、「審査だけでも」と資料提出を求めてくる。

「無料だから」

「すぐ終わりますから」

「登録に必要ですから」

と理由を変えながら情報を求めてくる。

ここまで来たら、営業担当者の熱心さを評価するのではなく、なぜそこまで情報を欲しがるのかを考えた方がいい。

本当に必要なら、必要になった段階で提出すればいい。

今必要ないのであれば、断っていい。

断っているのに情報提供を迫ってくる業者と、無理に付き合う必要はない。

「一度送っただけ」が後から重要になる

ファクタリング被害に遭った後になって、「あのとき資料を全部送ってしまった」と気付くことがある。

しかし、その時点ではもう遅い。

だから、営業を受けた時点から、何を求められたのかを記録しておく。

どんな資料を要求されたのか。

何の目的だと説明されたのか。

どこへ送ったのか。

誰に送ったのか。

その後、どのような営業を受けたのか。

もし後になって業者とのトラブルが発生した場合、こうした記録が重要になる。

悪徳業者とのトラブルは契約前から始まっている

ファクタリング被害というと、契約を締結して高額な手数料を支払ったところから始まるように見える。

しかし、実際にはもっと前から業者との関係が始まっている。

電話営業を受ける。

会社情報を聞かれる。

資料を求められる。

アカウントを作る。

審査を受ける。

担当者と何度も連絡する。

そうして少しずつ距離が縮まっていく。

だから、契約書だけを見ていてはいけない。

契約前に何を要求され、何を説明されたのか。

そこまで確認する必要がある。

弁護士に相談するときは「営業段階」から見せる

もしファクタリング業者とのやり取りに不審な点があるなら、弁護士へ相談する際にも、最後の契約書だけを渡すのではなく、営業段階の記録まで整理しておく。

最初の電話。

メール。

資料請求。

提出した会社情報。

審査結果。

見積書。

契約書。

請求書。

督促。

こうした資料を時系列で並べる。

すると、業者がどの段階で何を説明し、どの段階で利用者へ踏み込んできたのかが見えてくる。

それは、悪徳ファクタリング業者による被害を検討するうえでも重要な材料になる。

「審査無料」に釣られない

無料なら問題ない。

そう考えるのも危険である。

無料なのは審査かもしれない。

しかし、そのために会社の重要な情報を渡す必要がある。

無料という言葉だけを見てはいけない。

無料で何を得ようとしているのか。

そこを見る。

会社の情報は無料ではない。

決算書も通帳も売掛先の情報も、会社にとって重要な財産である。

それを渡すのであれば、相手が誰なのか、なぜ必要なのか、何に使われるのかを確認するのが当然である。

必要がないなら、最初から断ればいい

結局、最も安全なのはシンプルである。

ファクタリングを必要としていない。

それなら営業電話を断る。

資料も送らない。

アカウントも必要がなければ作らない。

「将来のため」と言われても、必要になったときに改めて探せばいい。

資金繰りが悪化した場合も、焦って資料を大量に渡すのではなく、まず条件を確認する。

不審な点があれば弁護士などの専門家へ相談する。

必要のない取引のために、会社の内部情報を差し出す理由はない。

ファクタリング業者から電話が来たからといって、応じる必要はない。

審査を勧められたからといって、資料を送る必要もない。

「無料」と言われても、登録する義務はない。

そして、すでに資料を渡してしまったとしても、そこで諦める必要はない。

何を渡したのか、いつ渡したのか、その後何を言われたのかを記録する。

契約したなら契約書を残す。

請求を受けたなら請求書を残す。

督促されたなら、その内容も残す。

後になって被害が発生した場合、最初の営業から記録をたどることができるようにしておく。

悪徳業者から会社を守る最初の防御は、契約書ではない。情報を渡す前に止まることである。

「審査だけ」

「無料だから」

「アカウントだけ」

「将来のため」

どんな言葉で誘われても、必要がなければ断る。

会社の情報を守る。

そして、本当に必要になったときだけ、自分で調べて、自分で選ぶ。

それくらいの警戒心を持っておいた方がいい。

ファクタリングは、営業電話を受けたから利用するものではない。

会社が必要性を判断し、条件を確認し、納得したうえで選ぶものだ。