安い数字だけを見せる営業に注意する
ファクタリング業者から「手数料3%です」と言われる。
さらに「今回は特別に1%で対応します」と言われる。
数字だけを見れば、安く感じる。
しかし、ここで判断を止めてはいけない。
ファクタリングで本当に見るべきなのは、営業担当者が最初に口にした手数料率ではない。
契約によって、自社から最終的にいくらのお金が出ていくのか。
そこを確認しなければ意味がない。
「1%だから安心」という考え方は非常に危険である。
100万円を売って、いくら残るのか
例えば100万円の売掛金をファクタリングするとする。
業者から「手数料1%です」と説明された。
単純に考えれば、99万円が手元に残るように思える。
しかし、実際の契約には別の費用が含まれているかもしれない。
その場合、見るべきなのは「1%」という広告上の数字ではない。
実際に振り込まれる金額はいくらなのか。
そして、最終的に会社から出ていく金額はいくらなのか。
この二つを確認する。
数字が合わないなら、その理由を説明してもらう。
説明できないなら、契約を止めればいい。
「手数料」以外の費用を見落とすな
ファクタリングの契約では、手数料以外にもさまざまな名目が出てくることがある。
だから、「手数料は○%だから安い」という説明だけで判断してはいけない。
契約に必要な費用をすべて合計する。
そして、実際に手元に残る金額を計算する。
例えば100万円の売掛金について、最終的にいくら受け取れるのか。
その金額を確認すれば、営業担当者が強調する「○%」よりも、はるかに実態が見えやすくなる。
率ではなく、金額を見る。
これだけでも、契約の見え方は大きく変わる。
「今回は特別価格」にも意味がある
「通常は5%ですが、今回は1%にします」
こう言われれば、誰でも得をしたような気持ちになる。
しかし、そもそもなぜ1%まで下げる必要があるのか。
初回契約を取るためなのか。
継続利用を期待しているのか。
他社へ逃げないようにするためなのか。
理由は業者によって違うだろう。
だから、安くしてくれたことを理由に信用してはいけない。
安くしてもらったことと、契約全体が自社にとって有利であることは別問題である。
むしろ、「なぜそこまでして契約を取りたいのか」と考えるくらいでいい。
資金繰りが苦しい会社ほど数字を冷静に見る
問題は、資金繰りが悪化したときである。
支払日が迫っている。
銀行からの入金が間に合わない。
従業員への給与もある。
仕入先への支払いもある。
その状態で「今すぐ100万円用意できます」と言われれば、手数料の細かな計算を後回しにしたくなる。
しかし、それが一番危ない。
必要なのは100万円なのか。
手元にいくら入れば支払いを乗り切れるのか。
そのために売掛金をいくら処分するのか。
最終的に会社はいくら失うのか。
ここを計算する。
焦っているときこそ、数字を一つずつ確認する。
これができなければ、資金繰りを改善するための取引が、さらに資金を圧迫することになる。
「100万円必要だから100万円売る」ではない
例えば会社に100万円の資金が必要だからといって、100万円の売掛金を売ればいいとは限らない。
実際に手元に入る金額が100万円を下回るなら、必要額に届かない可能性がある。
そこで追加の売掛金を現金化すれば、さらに手数料が発生する。
最初は100万円だけのつもりだったものが、結果としてより大きな売掛金を処分することになる。
これを繰り返せば、資金繰りはますます厳しくなる。
だから、ファクタリングを利用するなら、目の前の資金不足だけを見るのではなく、その後まで計算しなければならない。
「今回だけ」が繰り返されると危険
「今回は急場をしのぐだけ」
「次の入金までの一時的な利用」
そう考えて契約する。
そして翌月も資金が足りない。
また売掛金を現金化する。
さらに翌月も足りない。
こうなると、一時的な資金調達ではなく、ファクタリングによって資金繰りをつないでいる状態になる。
その状態が続けば、手数料の負担も積み上がる。
売掛金を前倒ししているだけなのに、会社から出ていくお金は確実に増えていく。
「今回だけ」という言葉で、自分自身を納得させないことだ。
一度利用するなら、その一回で本当に資金繰りが正常に戻るのかまで考える必要がある。
契約前に自分で計算する
業者に計算してもらうだけではなく、自分でも計算する。
売掛金はいくらなのか。
契約によって受け取る金額はいくらなのか。
手数料やその他の費用はいくらなのか。
最終的な負担はいくらなのか。
そして、その資金調達によって次の月の資金繰りはどうなるのか。
この計算をして、それでも利用する意味があると判断できるなら、初めて契約を検討すればいい。
逆に、計算してみて「この取引をすると来月さらに苦しくなる」と分かったなら、そこで止める。
業者に申し訳ないと思う必要はない。
会社の資金を守る方が重要である。
おかしな数字は証拠になる
もし営業時に説明された数字と、契約後の請求金額が違っていたなら、その資料をすべて残しておく。
営業メール。
見積書。
契約書。
請求書。
振込記録。
担当者とのメッセージ。
電話で説明された内容の記録。
これらを時系列で整理する。
後から「そんな説明はしていない」と言われても、記録が残っていれば確認できる。
悪徳業者とのトラブルでは、感情的に「騙された」と訴えるだけではなく、最初に何を説明され、実際にいくら受け取り、いくら支払ったのかを数字で示すことが重要になる。
弁護士に相談するなら、数字を全部出す
すでに契約してしまい、請求額や契約内容に疑問があるなら、弁護士へ相談することを検討する。
その際、「手数料が高かった」という感覚だけではなく、実際の金額を整理しておく。
売掛金はいくらだったのか。
実際に受け取った金額はいくらだったのか。
業者へ支払った金額はいくらだったのか。
追加で請求された金額はいくらだったのか。
その後どのような督促を受けたのか。
これを並べる。
そうすれば、弁護士も取引全体を把握しやすくなる。
必要であれば、その資料をもとに業者への対応を検討し、裁判や訴訟を含めた法的手段について判断することになる。
「安いから契約する」をやめる
ファクタリングで最も危険なのは、数字を見ているようで、実は数字を見ていないことである。
「1%」
「3%」
「初回限定」
「特別価格」
そうした数字ばかり追いかけてしまう。
しかし、会社経営で重要なのは広告に書かれた数字ではない。
会社の口座にいくら入り、会社の口座から最終的にいくら出ていくのか。
そこだけは絶対に曖昧にしてはいけない。
本当に得なのか、自分で判断する
ファクタリング業者は、自社のサービスを利用してもらうために営業する。
当然である。
しかし、利用者側まで業者の営業目線で考える必要はない。
「安いから使う」のではない。
「今日資金が必要だから使う」のでもない。
「担当者が親切だから使う」のでもない。
会社にとって本当に得なのか。
その一点で判断する。
そして、計算してみて割に合わないなら断る。
説明が曖昧なら断る。
契約内容が理解できないなら断る。
急かされるなら、なおさら止まる。
それでも契約後に不審な請求が出てきたなら、証拠を残し、必要に応じて弁護士へ相談する。
悪徳業者と戦うために必要なのは、怒鳴り返すことではない。
数字を残すことだ。
いくらだったのか。
何を説明されたのか。
いくら受け取ったのか。
いくら支払ったのか。
何を追加で請求されたのか。
その事実を積み上げていく。
そして、説明と実態の間に明らかな問題があるなら、その資料をもとに対応する。
ファクタリングで会社を守るために必要なのは、「安い業者を探すこと」だけではない。
安く見える数字の裏側まで確認することだ。
「手数料1%です」
その一言で契約を決めてはいけない。
その1%の先に、会社から最終的にいくら出ていくのか。
そこまで確認してから判断するべきである。

