「なぜうちにDMが来る?」―悪徳ファクタリング業者が狙う会社を見つける営業の仕組み

ファクタリングのトラブル

突然届くファクタリングの営業DM

ある日突然、会社宛てにファクタリングのDMが届く。

しかも、単なる一斉広告ではなく、会社名や代表者名が記載され、「資金繰りのお悩みはありませんか」「売掛金を早期資金化できます」といった内容で具体的に営業してくる。

そこで気になるのが、「そもそも、なぜこの会社に営業してきたのか」という問題です。

ファクタリング会社が広告を出すこと自体は珍しいことではありません。しかし、特定の会社に対して繰り返しDMを送り、さらにコールセンターから電話をかけてくるのであれば、その会社を営業対象として選んでいる理由があるはずです。

「資金が必要そうな会社」を探している

ファクタリング業者にとって、誰にでも同じ営業をするよりも、資金調達を必要としていそうな会社を絞り込んだ方が効率的です。

そこで、企業情報や公開されている事業情報などから、営業先を選別している可能性があります。

会社の規模、業種、事業内容、所在地、設立時期など、外部から確認できる情報は少なくありません。

さらに、会社がどのような事業を行っているのか、どの程度の規模なのかといった情報が分かれば、「この会社ならファクタリングを利用する可能性がある」と営業側が判断することもできます。

問題は、そこから先です。

一度営業対象として認識されると、DMだけで終わらず、電話やメールなど複数の方法で接触される可能性があります。

営業担当者が知っている情報に驚くことがある

営業電話を受けた経営者が、「なぜそこまで会社のことを知っているのか」と感じることがあります。

事業内容を把握している。会社の規模を知っている。代表者名を知っている。場合によっては、「売掛金が多い業種ですよね」など、会社の資金需要を推測したような話までしてくる。

こうした場合に重要なのは、営業担当者が知っている情報がどこから得られたものなのかを冷静に考えることです。

公開情報なのか、問い合わせ時に自分で伝えた情報なのか、それとも別の経路から取得された情報なのか。

ここを曖昧にしたまま営業を受け続けると、自社の情報がどのように扱われているのか分からなくなります。

無料相談が「情報収集」になることもある

「まずは無料で相談してください」という営業もあります。

もちろん、無料相談そのものが悪いわけではありません。

しかし、相談の中で会社の売上、売掛先、入金予定、資金繰り、借入状況など、かなり細かい情報を聞かれる場合があります。

利用者からすれば、「審査に必要だから」と思って答えるでしょう。

しかし、契約しなかった場合、その情報がどう扱われるのかまで確認しているでしょうか。

一度相談しただけなのに、その後に別の担当者から営業電話が来る。数週間後に再びDMが届く。別のサービスまで案内される。

こうした状況になった場合には、無料相談が単なる相談ではなく、営業対象を選別するための接点になっていなかったかを考える必要があります。

「断った会社」の情報まで残っている可能性

特に注意したいのが、一度断った後です。

「今回は利用しません」と伝えたにもかかわらず、数か月後にまた電話が来る。

そのとき担当者が、「以前お問い合わせいただいた件ですが」と話してくる。

これは、過去の問い合わせ情報が営業活動の中で利用されていることを示す一例です。

一度問い合わせたことによって、会社名や担当者名、連絡先、資金需要などが営業側に残る可能性があります。

だからこそ、問い合わせをする段階から、「この会社にどこまで情報を渡すのか」を意識する必要があります。

営業がしつこいなら「情報の流れ」を疑う

DM、メール、電話、コールセンター。

これらが別々に見えても、実際には一つの営業システムとして動いていることがあります。

DMを送って反応を見る。

問い合わせがあった会社を記録する。

電話で資金需要を確認する。

見込みがある会社に継続的に営業する。

こうした流れが組まれているのであれば、営業を受けている側は「ただ電話がしつこい」という問題だけを見るべきではありません。

自社の情報が、どの段階で営業情報として利用されているのか。

そこまで確認する必要があります。

悪徳業者とのトラブルでは「最初の接点」が重要になる

ファクタリングをめぐって被害が発生した場合、問題になるのは契約書だけとは限りません。

最初にどのようなDMが届いたのか。

誰から電話が来たのか。

何を聞かれたのか。

どのような説明を受けたのか。

その後、どのような営業が続いたのか。

こうした経緯を残しておけば、後になって業者との関係を整理するときにも役立ちます。

もし重大なトラブルに発展し、弁護士への相談や裁判・訴訟まで検討することになれば、契約に至るまでの営業過程そのものが重要な意味を持つ場合があります。

「なぜ自社に営業してきたのか」を考える

ファクタリングのDMを受け取ったとき、「必要な人に案内しているだけ」と考えて終わらせる必要はありません。

なぜ自社に届いたのか。

なぜこのタイミングなのか。

なぜ電話までしてくるのか。

そして、営業担当者は自社について何を知っているのか。

この視点を持つだけで、ファクタリング業者の営業が単なる広告なのか、それとも企業情報を利用したかなり計画的な営業なのかが見えてくることがあります。

ファクタリングを利用するかどうかを決める前に、まず「誰が、なぜ、自分の会社を営業対象にしているのか」を考える。

悪徳業者による被害を防ぐためには、契約後ではなく、営業を受けた最初の段階から相手を見ることが重要なのです。