― なぜファクタリング被害だけが救われないのか ―
ファクタリング被害が10年以上も野放しのまま続いている理由は、業者が巧妙だからではない。
立法も司法も強いからでもない。
最大要因は、行政の“沈黙”である。
とくに――
金融庁と消費者庁という2つの監督機関の境界線が、意図的に曖昧にされたまま放置されていること。
これが“日本の闇”と言っていい構造的欠陥の核心だ。
◆第1章 金融庁「それは貸金ではありません」
― 行政の“建前ロジック”が詐欺的商法を生み落とした ―
金融庁は、ファクタリングを監督対象としない理由として、いつも同じ建前を口にする。
「債権の売買であり、貸付ではない」
「貸金業法の規制対象ではない」
これが全ての元凶だ。
2社間ファクタリングは、実態としては 100%貸金業に近い金銭取引なのに、“形式上は債権売買”という詭弁によって金融庁の管轄外へ放り投げられる。
この「建前の盾」を悪用して、悪質業者は次々と参入した。
- 手数料40〜60%の実質金利
- 償還請求権つきの“偽装ノンリコース”
- 回収妨害の脅し電話
- 不適切な契約書
- 取引実態のねつ造
これらはすべて、金融庁が“見て見ぬふり”をした結果、育ってしまった犯罪温床だ。
◆第2章 消費者庁「事業者間取引なので関与しません」
― 保護対象の範囲外として“完全無視” ―
金融庁が「貸金ではない」と言う。
では消費者庁が救うのか?
答えは NO だ。
消費者庁はこう主張する。
「事業者間取引は消費者契約法の対象外」
「個人保護を目的とした制度であり、法人は所管外」
つまり、ファクタリング被害者(中小企業)はどちらの庁にも守られない。
これが“行政不作為の鉄壁の構造”である。
◆第3章 両機関が互いに責任を押し付け合う構造
― 2つの官庁の間に“巨大なブラックホール”がある ―
金融庁と消費者庁は、ファクタリング問題になると必ずこうなる。
- 金融庁
→「債権売買なので所管外です」 - 消費者庁
→「事業者なので所管外です」
互いに**“監督責任のなすりつけ”**を行い、そこにできたブラックホールで、被害者だけが延々と落ち続けている。
しかもこの構造は、行政が意図して作ったものと言ってよいほど精巧だ。
なぜなら、この曖昧さは10年以上も改善されていない。
- 国会質問 → はぐらかす
- 行政指導 → なし
- 注意喚起 → なし
- 業界調査 → なし
- 消費者白書 → 記載ゼロ
- 金融行政方針 → 無言
ここまで“完全スルー”が続く分野は異常である。
◆第4章 その結果、何が起きたのか
行政の放置プレーが生み出したのは、次のような“歪んだ市場”だった。
●① 貸金業法を回避した“無規制の金融市場”
貸金業者が絶対にできないことが、ファクタリング業者には全部できる。
- 金利規制なし
- 取り立て規制なし
- 取引条件の開示義務なし
- 契約書の書式自由
- 営業許可不要
つまり 無法地帯。
●② 悪質業者の参入が異常に容易
- 免許不要
- 資金100〜300万円で参入可能
- 顧客は資金繰りに困る企業=弱者
悪質事業者にとっては“天国”。
被害者にとっては“地獄”。
●③ 行政処分ゼロ → 被害拡大
貸金業では毎年「行政処分一覧」が出るが、ファクタリングでは行政処分ゼロ が常態化している。
悪質業者は捕まらない。
だから増える。
◆第5章 最も深い闇:行政は既に“問題を知っている”
ここからが核心だ。
金融庁も消費者庁も、
ファクタリング被害が極めて深刻であることを既に把握している。
- 国会質疑
- 被害相談増加
- 弁護士会の声明
- 経営者団体からの声
これらはすべて行政の耳に届いている。
にもかかわらず、なぜ動かないのか?
その理由は、「動くと金融行政全体の整合性が崩れるから」である。
◆第6章 行政が動けない“禁じられた真実”
もし金融庁が
「2社間ファクタリングは実質貸金だ」
と認めた瞬間、
- 貸金業法の抜け穴の存在
- 金利規制の無視
- 行政監督の不備
- 過去の被害者救済
- 業界全体の再編
- 監督責任の追及
すべてが一気に噴出する。
つまり国の失政が露呈する。
だから行政は動けないのではなく“動かないと決めている”。
これが、もっとも深い闇だ。
◆第7章 結論:行政不作為は“構造的犯罪”である
ファクタリング被害が消えない理由は明確だ。
- 悪質業者ではなく
- AIでもなく
- 司法でもなく
- 消費者でもなく
行政そのものが、被害を生み出す装置になっている。
金融庁と消費者庁という2つの巨大組織が互いに責任を押し付け合い、誰も手を出さない構造が設計されている限り、被害は永遠に終わらない。

