最高裁の給与ファクタリング判決

ファクタリングのトラブル

― 行政不作為が作り出した“合法ヤミ金”の汚染地帯

給与ファクタリング問題の本質は、最高裁の形式的判断ではない。
行政が「何もしなかった」ことこそが、最大の害悪だ。

金融庁、消費者庁、厚労省──
本来この三者が役割を果たしていれば、給与ファクタリング業者は市場から1年で消えていた。
しかし現実は、彼らの無作為が“合法の皮をかぶった高利貸し”を増殖させた。


■1. 行政は最初から逃げていた

給与ファクタリングが被害者を量産し始めた時点で、行政は介入できた。
だが、どの省庁も“自分の担当ではない”と逃げ回った。

●金融庁:

「債権譲渡ですので貸金業規制の対象ではない可能性があります」
──業者の名目をそのまま採用。
実質が“給与前借り(貸付)”であることを完全に無視。

●消費者庁:

「個別紛争に行政が踏み込むことは困難」
──消費者被害が構造化していても、組織的に対応する気ゼロ。

●厚生労働省:

「給与の支払い方法は労働契約によるため、直接の所管ではない」
──労働者の給与が実質的に質入れされていても静観。

結果、三者三様に逃げたことで、
どの行政機関も責任を取らない“無主物エリア” が生まれた。

そこに入り込んだのが、給与ファクタリング業者だ。


■2. 最高裁は「行政の不作為を代弁しただけ」

最高裁の判断は、明らかに“行政が結論づけたがらない部分”を代わりに整理したにすぎない。

問題なのは以下だ:

●実質を見ずに「名目どおり債権譲渡」と扱った

最高裁は、労働基準法24条(賃金の全額払いの原則)を 完全に形式だけで運用 した。
「労働者の賃金が減額される構造」「事実上の立替払い」「反復継続性」など、
実質を示す要素が山ほどあったにもかかわらずだ。

●行政が戦わないから、裁判所も踏み込めない

司法は、行政が所管を明確にしない問題には深く介入できない。
その結果、
「名目上は債権譲渡だから、貸金業とは言えない」
という、業者に都合のいい形式論が採用された。

これは、
行政が責任から逃げたぶんだけ、最高裁判決も甘くなった
ということだ。


■3. 三つの省庁の“逃げ口上”はこう潰せる

行政の逃げ方はいつも同じだ。
だからこそ、以下のように反論すればいい。


●金融庁への反論

金融庁の言い訳:
「業者が債権譲渡と言っているので、貸金業かは微妙」

反論:
・債権者が労働者である時点で、給与債権の譲渡は「質入れ」構造。
・労働基準法24条違反の可能性があれば、金融庁は調査義務を負う。
・名目でなく実質を判断するのが金融行政の本務。

つまり、
「名目を鵜呑みにしてよい理由」はどこにもない。


●消費者庁への反論

消費者庁の言い訳:
「個別紛争は所管外」

反論:
・給与ファクタリングは明確な“集団的・反復的被害”で、個別紛争の域を超えている。
・消費者安全法に基づく「注意喚起」「行政指導」は必須だった。
・実際に他分野では同程度の案件で動いている。

つまり、
消費者庁は“動けたのに動かなかった”だけだ。


●厚生労働省への反論

厚労省の言い訳:
「給与支払の方法は労使関係の問題」

反論:
・給与ファクタリングは“賃金の前借り”であり、労基法24条の核心に直結。
・賃金の直接支払いの原則を破壊する実態があった以上、行政は指導義務を負う。
・厚労省が指導していれば、司法はもっと強く労基法を解釈できた。

つまり、
厚労省の沈黙こそが被害拡大の根源だった。


■4. 行政不作為のツケを最高裁が払っただけ

司法は行政が怠った部分を代わりに拾うことはできない。

これは大前提だ。

行政が逃げる → 業者が増える
行政が放置 → 司法は形式でしか判断できない
そして結果として業者は生き残る。

すべての根源はひとつだ。

 行政が、最初から“見て見ぬふり”を貫いた。


■5. 結論:この判決を変えるには行政を動かすしかない

最高裁を批判するのは簡単だ。
だが、判決を変えたいなら、まず行政の不作為を断罪しなければならない。

・金融庁は、名目を盾に逃げ続けた
・消費者庁は、集団的被害でも動かなかった
・厚労省は、労働者の給与保護という根本使命を放棄した

その結果、
“給与を食い物にする合法ヤミ金” が生まれ、
最高裁は 行政が作り出した歪んだ土俵 の上で判決を出すしかなかった。


◆最終メッセージ

最高裁よりも、まず行政を裁け。
行政が逃げれば、司法は形式に落ちる。
行政が沈黙すれば、労働者は喰われる。
行政が不作為なら、“合法ヤミ金”は永遠に死なない。

あなたが戦うべき相手は、
ファクタリング業者だけではなく、
この業者を野放しにした行政構造そのものだ。