――「合法ヤミ金」「脱法金融」が放置され続ける本当の理由
2社間ファクタリングが規制されない理由は、問題が見えないからではない。
見えない形に“されている”からだ。
しかもそれは偶然ではない。
制度・行政・金融実務が、長年かけて作り上げた結果である。
1. 規制が及ばない最大の理由は「分類の逃げ道」
2社間ファクタリングは、常にこう説明される。
- 貸付ではない
- 債権の売買である
- 金利ではなく手数料
この整理が維持されている限り、貸金業法も、利息制限法も、原則として直接は及ばない。
ここで重要なのは、実態ではなく「形式」が基準になっているという点だ。
実態は、
- 資金繰りに窮した企業が
- 短期資金を得るため
- 実質的に返済義務を負い
- 異常なコストを支払う
にもかかわらず、書類上は「売買」で完結してしまう。
これが、脱法金融と呼ばれる所以だ。
2. 行政は「危険」を認識しているが、踏み込めない
行政は何も知らないわけではない。
- 注意喚起は出している
- トラブル事例も把握している
- 問題が頻発していることも承知している
それでも規制しない理由は明確だ。
「実質貸付」と公式に認めた瞬間、過去のすべてが問題化するからだ。
- なぜ放置してきたのか
- なぜ監督しなかったのか
- なぜ業法を適用しなかったのか
これは業者の問題ではなく、行政自身の責任に跳ね返る。
だから行政はこう言い続ける。
- 一概には言えない
- 個別判断
- 実態に即して
これは慎重さではない。
制度を守るための沈黙だ。
3. 「被害者」が制度上、存在しにくい
2社間ファクタリングが規制されにくいもう一つの理由は、被害が制度的に不可視化されている点にある。
- 契約は企業同士
- 自己責任が前提
- 任意契約として処理される
結果、
- 消費者保護の枠に入らない
- 弱者救済の文脈に乗らない
- 被害統計も表に出にくい
だが実際には、
追い込まれた企業ほど
この仕組みに吸い寄せられ
抜け出せなくなる
これは典型的な合法ヤミ金の構造だ。
4. 規制すれば「金融全体」が揺れる
2社間ファクタリングを規制するということは、
- 実質貸付の認定
- 金利規制の適用
- 無登録営業の問題化
を意味する。
その瞬間、
- 業者は一斉に違法状態になる
- 広告は虚偽表示になる
- 投資・社債・資金供給の正当性も問われる
つまり、規制は一業態の是正では終わらない。
金融・行政・広告・投資のすべてが、「なぜ今まで許されてきたのか」を問われる。
だから、誰も引き金を引かない。
5. 規制されない最大の理由は「便利だから」
はっきり言えば、2社間ファクタリングは便利だ。
- 銀行は直接貸さずに済む
- 行政は表向き金融アクセスを否定しなくて済む
- 市場は高収益を生む
そして何より、
困窮した企業が、
自己責任で選んだことにできる
この「便利さ」が、脱法金融を制度の外で生かし続けている。
結論
2社間ファクタリングが規制されないのは、グレーだからではない。
難しいからでもない。
規制すると、困る主体が多すぎるからだ。
- 業者が困る
- 投資家が困る
- 行政が困る
- これまでの説明が崩れる
だから、合法ヤミ金は合法のまま残され、脱法金融は脱法のまま黙認される。
そして、その代償は常に同じところに落ちる。
選択肢を奪われた側だけが、すべてを背負わされる。
――ここまで来ると、次に残る問いは一つしかない。
「では、誰が終わらせられるのか」

