需要があるからではなく、出口が塞がれているから
新たな2社間ファクタリング業者が後を絶たない理由として、しばしば「資金繰りに困る事業者が多いからだ」と説明される。しかし、この説明は現象をなぞっているだけで、構造には触れていない。本質は需要の多さではなく、既存の資金調達手段から排除された事業者が行き場を失っている点にある。
銀行融資は信用情報や決算内容で弾かれ、公的支援は時間がかかり、制度金融は要件が厳しい。その結果、緊急性だけを満たす手段として2社間ファクタリングが残り続ける。この構造が変わらない限り、供給側は何度でも参入できる。
参入障壁が異様に低いという現実
2社間ファクタリング業者の「開業」が相次ぐ最大の要因は、参入障壁の低さにある。免許は不要で、登録制もなく、金融機関としての厳格な監督も受けない。形式上は債権の売買であり、貸金業ではないという整理が、この空白を生んできた。
このため、資本力や専門性が乏しくても、広告と営業さえ用意できれば業者として成立してしまう。市場原理による淘汰が働く前に、短期間で利益を確定させて撤退するモデルすら可能になる。健全性よりも瞬発力が優先される市場で、新規参入が止まる理由はない。
「違法でなければ許される」という誤解
新規開業が続く背景には、「明確に違法でなければ問題ない」という空気がある。刑事罰の対象にならない。行政指導も限定的である。その事実が、事業としての正当性を保証しているかのように受け取られてきた。
しかし、違法でないことと、社会的に許容されることは同義ではない。にもかかわらず、この二つは意図的に混同されてきた。結果として、新たに参入する事業者も、「線を越えなければ問題ない」という最低限の基準だけを意識し、構造そのものを疑わない。
短期収益モデルが成立してしまう市場
2社間ファクタリングは、長期的な信用を積み上げなくても成立する。顧客がリピートしなくても、広告で新規利用者を獲得できれば回る。苦境にある事業者は常に一定数存在し、その多くは一度の利用で深刻な影響を受ける。
このため、業者側にとって「続けること」よりも「始められること」が重要になる。市場が健全であれば、こうした短期回収型の事業は自然に淘汰される。しかし淘汰が起きない以上、新たな開業は合理的な選択になってしまう。
開業が続くこと自体が異常の証明
本来、社会的に問題のある取引であれば、制度、世論、市場のいずれかがブレーキとして機能する。しかし2社間ファクタリングでは、そのいずれもが十分に作用してこなかった。その結果として、「また新しい業者が出てきた」という状況が常態化している。
新規開業の多さは、市場の健全性を示すものではない。むしろ、是正されるべき構造が放置され続けていることの証左である。業者が増え続けるのは、この仕組みが正しいからではなく、止める仕組みが存在しないからだ。

