2016年新春版「2社間ファクタリング ヤバい」でAIに聞いてみたー答えが変わらない理由そのものが、問題の本質を示している

ファクタリングのトラブル

いかにも「改善された」ように見える回答

再び「2社間ファクタリング ヤバい」でAIに質問してみると、返ってきた答えは以前より整理されていた。高い手数料、悪質な偽装業者、利用者側の犯罪リスク。

構成も分かりやすく、注意喚起としては一見よくできている。しかし読み進めるほど、違和感は強くなる。これは本当に、問題を深く理解した上での回答なのだろうか。

「正しく利用すれば便利」という前提が消えていない

冒頭に置かれているのは、「正しく利用すれば合法で便利な資金調達手段」という一文だ。この前提がある限り、結論は最初から決まっている。危険な側面はあるが、選び方次第で使えるもの。

そう読者に思わせるための枠組みである。しかし、2社間ファクタリングの問題は、正しく使えるかどうかではない。構造上、使い続ければ経営を圧迫する仕組みであること自体が問われている。

問題は「悪質業者」に押し込められる

次に示されるのは、「偽装ファクタリング」という整理だ。ヤミ金のような業者が存在するから注意しろ、見分けろ、避けろという話になる。この語り口は一見もっともらしいが、ここで責任は巧妙に分散される。悪いのは一部の業者であり、そうでない業者まで否定する話ではない。結果として、仕組みそのものへの批判は避けられる。

利用者の犯罪リスクというすり替え

さらに話題は、利用者側の違法行為へと移る。

二重譲渡、架空債権、使い込み。確かに犯罪だが、ここでも視点は個人に向かう。なぜそこまで追い詰められるのか。なぜ正常な判断ができなくなるのか。

資金前倒しを繰り返さなければ立ち行かない構造については語られない。問題は、利用者のモラルや判断力に回収される。

「出口戦略を持て」という現実離れした助言

最後に提示されるのが、「安全に利用するためのチェックリスト」と「出口戦略を持って利用せよ」という助言だ。しかし、この言葉ほど現実を無視したものはない。

出口戦略を描ける事業者は、そもそも2社間ファクタリングに辿り着かない。出口を考えられなくなった状態だからこそ、この取引が選ばれる。この前提を欠いた助言は、注意喚起ではなく思考停止を促す。

答えが変わらないのは、問いが変わっていないから

結局、このAIの回答が示しているのは、「やばい点もあるが、選び方次第で使える」という結論だ。これは過去に何度も繰り返されてきた説明と、本質的に何も変わらない。

AIが学習不足なのではない。

社会全体が、2社間ファクタリングを「危ないが使えるもの」として扱い続けてきた結果が、そのまま反映されているだけだ。

「使うな」という言葉だけが欠けている

2社間ファクタリングの問題は、悪質業者の存在でも、利用者の失敗でもない。

将来資金を削り続けなければ成り立たない仕組みを、「資金調達」という言葉で正当化してきた点にある。

問いが変わらない限り、答えも変わらない。そして今もなお、「使うな」という最も重要な言葉だけが、どこにも現れない。