合法ヤミ金を成立させているものは何か

不存在債権は「詐欺か?」「不当原因給付か?」

高額手数料を正当化する契約形式と、グレーゾーンを巧妙にすり抜ける業界慣行。それだけでは、このビジネスは成立しない。制度の穴は「前提条件」にすぎず、「市場が存在し続けている」という現実がなければ、ここまで急速に拡大することはない。

ここで重要なのは、「利用者が悪い」と断じることではない。資金繰りが詰まる状況に追い込まれた人ほど、冷静な比較検討をする余裕がなくなる。選択肢が乏しい環境のなかで、目の前の資金に手を伸ばしてしまう。その心理は責められるものではなく、むしろ構造的要因によって生み出されている。

しかし同時に、利用が継続しているという事実が、業界そのものを肥大化させていることも否定できない。ここを避けて通る限り、問題の核心には届かない。

ここで整理すべき構造は次のとおりである。

・利用が続く限り、市場は成立し続ける
・市場が成立している限り、新規参入は止まらない
・参入が増えるほど、手数料や回収手法は過熱する

この流れは単なる理論ではなく、実際の業界の拡大過程そのものである。

被害は「個人の自己責任」では終わらない

この構造が固定化すると、被害は個々の利用者だけでは済まなくなる。資金繰りに追い込まれる零細事業者、下請け、家族、従業員、取引先へと波及する。キャッシュフローの圧迫は消費、雇用、地域経済にも影響する。

つまり「困っている人が勝手に使っている問題」ではない。
社会全体に影を落とす性質をもった問題でありながら、制度上は合法の外観を保っている。この組み合わせが厄介で、批判が弱まり、規制の議論も進みにくい。

だからこそ、社会的議論は次の地点に進む必要がある。

・利用を責めるのではなく、「使わざるを得ない状況」を減らす
・資金繰りで追い込まれる前の相談経路を増やす
・手数料ビジネスを事後追認する風潮を見直す

ここを整備しない限り、「合法ヤミ金」に近いビジネスは形を変えながら増え続ける。市場が存在する限り、より効率的に利益を得ようとする事業者は必ず現れる。規制だけでは追いつかない。

結論

合法ヤミ金を儲けさせているのは、業者の巧妙さだけではない。
制度の穴だけでもない。

「利用が続く現実」と「追い込まれる社会構造」の組み合わせである。

そして問題は、利用者を断罪することでは解決しない。
使わざるを得ない状況を減らす社会設計こそが、本丸である。