2社間ファクタリングは、資金繰りに悩む企業でも利用しやすい資金調達手段として広がっている。
借入ではない、審査が早い、即日入金も可能といった説明が前面に出される。
こうした特徴は、資金繰りに不安を抱える経営者にとって魅力的に映る。
しかし実務的に見ると、これは延命措置と呼ぶには無理がある。
むしろ事業の悪化を加速させる仕組みとして機能する場面が少なくない。
形式面では合法である。
ただし、将来の売上を前倒しで消費させ、高い手数料負担を伴う点を踏まえると、「合法ヤミ金に近い性質」と評価されても不自然ではない。
■ 「借入ではない」という説明の落とし穴
2社間ファクタリングは売掛債権の売買契約であり、法律上は貸付ではない。
この形式を根拠に、「金利ではない」「借金ではない」という説明が強調されることが多い。
しかし、経営に影響を与えるのは形式ではなく実質負担である。
将来入金される予定の売掛金を前倒しで現金化し、その代わりに高い手数料を支払う。
この取引を繰り返せば、実質的な負担は年利換算で極めて重い水準となる。
形式がどうであれ、実態としては高コストの資金調達であることは否定しがたい。
■ 延命どころか「未来の売上の切り崩し」
2社間ファクタリングの本質は、現在必要な資金を確保する代わりに、将来受け取るはずの入金額を減らす点にある。
今月の資金繰りは一時的に楽になるが、来月以降の入金は減少する。
その結果、再び資金ショートの危険が生じ、再度ファクタリングを利用するという流れに陥りやすい。
この循環が始まると、資金繰りは構造的に弱体化する。
延命措置というよりも、事業悪化を加速させる装置としての側面が強い。
■ 利用が「判断の先送り」を生む
2社間ファクタリングを利用すると、短期的には資金繰りが改善したように見える。
その結果、経営課題の本質的見直しが先送りされやすくなる。
本来取り組むべきなのは、不採算部門の整理、収益構造の見直し、取引条件の改善交渉、固定費の適正化、事業モデルの再検討といった項目である。
しかし、資金を前倒しで得られる環境が整うことで、これらの課題に向き合うタイミングが後ろへずれていく。
この意味で、2社間ファクタリングは資金繰りを改善する手段というより、問題の先送りを容易にする仕組みになりやすい。
■ 成功事例だけが目立つ理由
インターネット上では、2社間ファクタリングを利用して助かったという体験談が多く見られる。
しかし、それが実態をそのまま反映しているとは限らない。
倒産した企業は体験談を公表しない。
一方で、比較サイトや体験談記事の多くは広告や紹介料を前提に作られている。
その結果、成功事例が過度に強調され、破綻につながったケースは表に出にくい傾向が生じる。
利用を検討する際には、この情報の偏りも踏まえて慎重に判断する必要がある。
■ 倒産の「最後の引き金」になりやすい
倒産の原因は複合的であり、2社間ファクタリングだけが直接原因になるわけではない。
しかし現場では、資金繰りが苦しい状況でファクタリングを利用し、その手数料負担が上乗せされ、さらに資金繰りが悪化するという過程が起こりやすい。
この意味で、2社間ファクタリングは倒産を決定づける最後の引き金として機能する場合がある。
■ 利用前に検討すべき現実的な選択肢
2社間ファクタリングを絶対に利用してはいけないという議論ではない。
緊急避難的に、一時的な活用が選択肢となる場面が存在することも事実である。
ただし、その前に検討すべきことは多い。
取引条件の見直しによる回収サイトの短縮、在庫圧縮、不採算案件の停止、固定費の削減、役員報酬の見直し、既存債務についてのリスケジュール相談などである。
これらを十分に検討せず、安易に2社間ファクタリングへ踏み出すことは、将来の事業を細らせる選択となり得る。
■ まとめ
2社間ファクタリングは、「借入ではない」という形式上の安心感から利用が広がっている。
しかし実務的には、高コストで将来の売上を前倒しして消費する仕組みであり、結果として事業悪化のスピードを速める可能性が高い。
その性質は合法であることを前提としつつも、実質的にはヤミ金的性質に近い資金調達と評価されても不思議ではない。
利用を検討している時点で、すでに経営は警戒すべき局面に入っていると考えるべきである。
本当に必要なのは、新しい資金調達手段ではなく、事業の再設計と収益構造の見直しである。

