2社間ファクタリングは形式上「債権譲渡」として扱われています。しかし実態は、極めて高いコストを伴う資金融通であり、企業の資金繰りを慢性的に悪化させる取引です。倒産、納税不能、数字の歪み、経営判断の麻痺といった深刻な副作用が常に伴います。違法かどうかではなく、社会に害を及ぼしているかどうかで判断する必要があります。
現場で起きている被害の広がりを踏まえると、2社間ファクタリングは社会が責任を持って縮小させ、最終的に廃絶すべき対象です。本稿では、そのための政策提言と制度改革の方向性を示します。
1 「手数料」の名の下に超高利取引が温存されている
2社間ファクタリングでは、名目は「手数料」です。しかし、実質は短期資金融通に対する対価であり、利息と同質の負担です。この形式と実質の乖離が、規制をすり抜ける最大の理由になっています。
名目は債権売買であっても、実態が資金融通であるなら利息制限法等の規制対象に含めるべきです。形式に依存する現在の枠組みは、現実の被害を放置する結果になっています。制度の前提そのものを改めなければなりません。
2 恒常利用を生み出す依存構造は、制度的に危険である
2社間ファクタリングは、一度利用すると翌月以降の資金不足を自動的に生み出します。前倒しした売掛金が翌月に減るため、再度の利用が必要になるからです。この構造は偶然ではなく、制度そのものに依存性が内在していると言えます。
一時的利用で済まず、常態化する企業が多数発生している現実は、この制度が本質的に危険であることを示しています。薬物依存に似た性質を持っている以上、社会が規制しなければ被害は拡大し続けます。
3 数字が歪むこと自体が社会的リスクである
利益が出ているのに現金が足りないという矛盾は、2社間ファクタリング利用企業で繰り返し起きています。この結果として、次のような事態が発生します。
- 納税資金が不足する
- 決算書が実態を反映しなくなる
- 銀行や取引先の判断が歪められる
数字の信頼性が失われることは、個々の企業だけの問題ではありません。市場の信頼構造全体を壊します。この意味において、2社間ファクタリングは制度的リスクを社会に拡散する存在です。
政策提言──社会として根絶を目指すために
以下は、単なる改善ではなく縮小と廃絶を目的とした政策提案です。
提言1 「実質資金融通」の場合は金利規制の対象にする
債権売買という形式のみに着目した現行の整理を改め、次の観点で判断する枠組みが必要です。
- 実質が資金の前倒しであるかどうか
- 事業者が継続的にその行為を行っているかどうか
-対価が手数料という名目でも実質は利息に当たるかどうか
これらの要件に該当する場合は利息制限法・出資法の規制対象に含めることが望まれます。この一点だけでも、現在横行している高コスト取引の大半は成り立たなくなります。
提言2 反復利用に対する規制を導入する
被害の多くは一回利用ではなく、反復利用で発生しています。そのため次のような規制が必要です。
- 同一債務者の連続利用回数を制限する
- 一定回数以上の利用は届け出制にする
- 財務指標の悪化が認められる場合は利用を禁止する
依存性の高い仕組みには、依存を断ち切るための制度規制が不可欠です。
提言3 「資金調達」という表現の使用を禁止する
2社間ファクタリングは資金調達ではありません。将来のキャッシュフローを先食いする行為です。にもかかわらず、広告の多くは「資金調達」「融資代替」「即日資金化」といった表現を用いています。
これらの表現は誤認を生みます。したがって、以下の措置が必要です。
- 資金調達という表示の禁止
- 融資代替という表示の禁止
- リスク説明義務の明確化
言葉の誤魔化しを許す限り、被害は止まりません。
提言4 事例収集と公表を制度化する
現在、実際の被害は断片的にしか把握されていません。行政として次の仕組みを設けるべきです。
- 相談窓口の常設
- 倒産事例の体系的収集
- 統計データの公表
被害の実態が見える化されれば、規制強化への社会的合意形成が容易になります。
結論──合法性より公益性を優先させるべきである
2社間ファクタリングは形式上は合法です。しかし、合法であることと社会的に許容されることは別です。企業を弱体化させ、数字を歪め、納税と信用秩序に悪影響を与える取引は、社会悪として扱われるべき存在です。
制度は現実の被害に合わせて更新されなければなりません。2社間ファクタリングについては、単なる注意喚起では足りません。依存を生み、被害を拡散させる構造的欠陥を持つ以上、社会として縮小させ、最終的に廃絶へ向かう制度設計が必要です。

