2社間ファクタリングを本気で検討し始めた経営者が、ほぼ例外なく最初にたどり着くのが「比較サイト」だ。そして皮肉なことに、この最初の一歩こそが、その後の選択肢をほぼ固定してしまう最大の分岐点になっている。
なぜ比較サイトが最も危険なのか。それは、そこに書かれている情報が間違っているからではない。正しそうに見える形で、致命的に偏っているからだ。
比較サイトは「相談窓口」ではなく「送客装置」である
多くの比較サイトは、「中立」「客観」「おすすめランキング」といった言葉で自分たちを装っている。しかし実態は、ほぼすべてが送客ビジネスだ。掲載されている業者は、広告費や成果報酬を支払っている。その時点で、構造的に中立ではあり得ない。
にもかかわらず、サイトの表現はあくまで「第三者の立場」だ。メリットは大きく、デメリットは薄く、手数料の幅は都合よく書き換えられ、リスクは「注意点」という曖昧な言葉に包まれる。ここで読者は、「これは情報サイトだ」と誤認する。しかし実際には、これは広告の一種であり、入り口からすでに誘導が始まっている。
比較されているのは「安全性」ではなく「広告主」
比較サイトに並んでいる項目は、一見すると合理的だ。手数料、入金スピード、対応の柔軟さ、審査の通りやすさ。だが、よく見ると、本来いちばん比較すべき項目が、意図的に抜け落ちている。
たとえば、「実質年率換算」「継続利用時の総コスト」「返済不能時の対応」「回収トラブルの有無」といった致命的な情報は、ほぼ載っていない。なぜなら、それらを書いた瞬間に、2社間ファクタリングそのものが商品として成立しなくなるからだ。
つまり、比較されているのはサービスの健全性ではなく、「どの広告主が、より魅力的に見えるか」という演出力だけである。
最も冷静さを失っている人間に、最も歪んだ情報が届く
ここが最大の問題点だ。2社間ファクタリングを検索している人間は、すでに相当追い込まれている。支払い期限が迫り、銀行にも断られ、他の選択肢が消えかけている状態だ。その心理状態で見る比較サイトは、ほぼ麻酔のように作用する。
即日入金、審査不要、赤字OK、税金滞納可、他社NGでも可。これらの言葉は、冷静な状態なら異常に見える。しかし、時間がない状態では、「これしかない」という合理的判断にすり替わる。
そして比較サイトは、その心理にぴったり合う業者だけを、上位に並べる。結果として、最も危険なゾーンにいる人間ほど、最も高コストで後戻りできない業者に、最短距離で誘導される構造になっている。
なぜ「やめておけ」と書かれないのか
冷静に考えれば、比較サイトの中に一つくらい、「そもそも使うべきではない」という結論のページがあってもおかしくない。しかし現実には、そんなサイトはほぼ存在しない。
理由は単純で、それを書いた瞬間にビジネスが終わるからだ。比較サイトは、2社間ファクタリングを「使う前提」でしか成り立たない。「使うな」という結論を出すことは、自分たちの収益モデルそのものを否定する行為になる。
その結果、「危険」「脱法」「合法ヤミ金」といった言葉は、比較サイトから完全に消える。代わりに、「資金調達の一つの選択肢」「急な資金ニーズに対応」「柔軟なサービス」といった、無害化された表現だけが並ぶ。
「比較」という形式そのものが、判断を歪める
もう一つ見逃せないのは、「比較する」という形式自体が、判断を根本から歪めている点だ。本来問うべきなのは、「どの業者を選ぶか」ではない。「そもそも、この手段を選ぶべきかどうか」だ。
しかし比較サイトに入った瞬間、読者の思考は「A社かB社か」「手数料5%か8%か」という二択構造に固定される。この時点で、「2社間ファクタリング以外の道」は、思考の画面から完全に消えている。
つまり比較サイトは、単なる情報提供ではない。思考の範囲そのものを、意図的に狭める装置なのである。
広告規制とステマ規制が機能していない現実
ここで避けて通れないのが、広告規制とステマ規制の問題だ。本来、これだけ実質貸付に近い商品が、「審査不要」「誰でもOK」といった表現で拡散されること自体がおかしい。
しかし現実には、2社間ファクタリングは「貸金業ではない」という建前のもとで、金融広告としての厳しい規制をほぼ回避している。さらに比較サイトの多くは、「広告」「PR」「アフィリエイト」であることを、極めて分かりにくい形でしか表示していない。
これは事実上のステルスマーケティングであり、脱法金融とそれを支える広告構造が、セットで温存されている状態だと言っていい。
結論 最初に見るサイトが、ほぼ運命を決めている
このテーマの結論は、かなり重い。
2社間ファクタリングを検索した人が、最初に見る比較サイトは、その後に選ぶ業者を決めているだけではない。「2社間ファクタリング以外の道」を、ほぼ完全に消している。
最も冷静さを失っているタイミングで、最も歪んだ情報に触れさせられ、そのまま最も高コストで後戻りできない選択肢に誘導される。この構造が変わらない限り、2社間ファクタリングの被害は、今後も静かに拡大し続ける。
だから本当に危険なのは、業者そのものではない。最初に見る「比較サイト」という入口そのものである。

