2社間ファクタリングの比較サイトを巡る議論は、これまで「ステマは良くない」「広告であることを明示すべきだ」といった倫理論や規制論に寄りがちだった。しかし2026年時点で、その切り口は正直、ほぼ効力を失っている。なぜなら、比較サイトはすでに「是非を問われる存在」ではなく、「市場構造の一部」として機能してしまっているからだ。
ここで問うべきなのは、善悪ではない。**比較サイトが実務上、何を“確定させてしまっているのか”**という一点である。
比較サイトは「紹介」ではなく「進路確定装置」になっている
多くの比較サイト運営者は、「あくまで情報提供」「最終判断は利用者自身」と逃げ道を用意している。しかし現実には、2社間ファクタリングの比較サイトは、もはや単なる紹介メディアではない。
資金繰りが限界に近い経営者が、最初に比較サイトに入った瞬間、その後の行動パターンはほぼ固定される。銀行に戻ることも、リスケを検討することも、専門家に相談することもなく、「この中のどれかに申し込む」という一本道に入る。
この時点で、比較サイトは「選択肢を提示している」のではない。「進路を確定させている」のである。この役割を果たしている以上、「単なる広告媒体」という自己定義は、もはや現実とズレている。
その一クリックが、資金繰りの時間軸を破壊している
切り口をもう一段ずらそう。比較サイトが本当にやっていることは、「業者を紹介している」ことではない。時間軸を破壊していることだ。
2社間ファクタリングに行き着く会社の多くは、本来なら、まだ他の選択肢が残っていた段階にいる。だが比較サイトは、「即日」「今すぐ」「最短◯分」といった文言で、思考を一気に短期化させる。これにより、「数週間かければ回避できた破綻」が、「今日中に申し込む案件」に変質する。
結果として何が起きるか。
・リスケ交渉に入る時間が消える
・資産売却の検討期間が消える
・士業や公的支援に繋がる機会が消える
比較サイトは、意図せずとも、事業者の“残り時間”を削っている。この時点で、単なる情報提供者とは言えない役割を担ってしまっている。
比較サイトは「被害発生率」を操作している存在でもある
さらに厄介なのは、比較サイトが、業界全体の被害発生率そのものを押し上げている点だ。
本来、2社間ファクタリングは、相当追い込まれた一部の会社だけが使う、極めて限定的な手段であるべきものだった。ところが比較サイトは、「誰でも使える」「資金調達の一つの選択肢」という物語を量産することで、本来なら使わずに済んだ層まで市場に引きずり込んでいる。
これは「需要に応えただけ」では説明できない。比較サイトは、実務的に言えば、需要そのものを膨らませている側に回っている。そして膨らませた需要の先で、倒産や資金枯渇が起きている以上、「うちは関係ない」という立場は、もはや成立しない。
なぜ「責任の線引き」が曖昧なまま放置されているのか
では、なぜここまで実務上の影響力を持ちながら、比較サイト運営者の責任は一切明確化されていないのか。理由は単純で、誰にとっても都合が悪いからだ。
業者にとって、比較サイトは最大の送客元だ。規制すれば集客が止まる。
銀行にとって、2社間ファクタリングは「貸倒れ処理の先送り装置」になっている。強く止める理由がない。
行政にとって、貸金業ではない建前の商品を、どう規制するかは面倒すぎる。
そして比較サイト自身にとっては、当然ながら、現状維持が最も儲かる。
この四者の利害が一致している限り、「責任の所在」だけが、意図的に宙吊りにされ続ける。
本当の責任は「説明不足」ではなく「不可逆点の隠蔽」
ここで、責任の中身をはっきりさせておく必要がある。問題は、「リスク説明が足りない」といったレベルの話ではない。
比較サイトが本当にやっているのは、2社間ファクタリングに入った瞬間、ほぼ後戻りできなくなるという不可逆点を、意図的に見えなくしていることだ。
・一度使うと、次も使わざるを得なくなる
・手数料負担で資金繰りがさらに悪化する
・銀行融資が完全に閉ざされる
・倒産までの時間が短縮される
この構造を正面から書けば、送客は激減する。だから書かない。この「書かない」という選択そのものが、すでに能動的な加害性を帯びている。
結論 責任は「法」ではなく「結果」によって定義される
このテーマの結論は、あえて法や倫理から切り離す。
比較サイト運営者がどこまで責任を負うべきか。その答えは、「法律でどこまで義務づけられているか」ではなく、「自分たちの存在が、どれだけの会社を不可逆ゾーンに押し込んでいるか」で定義されるべきだ。
現実として、比較サイトは、2社間ファクタリング市場を拡張し、被害発生率を押し上げ、倒産までの時間軸を短縮している。この三つを同時にやっている以上、もはや「ただの広告屋」ではない。
責任を負うかどうかは、選べない段階に入っている。
すでに負ってしまっているというのが、2026年時点での正確な現実だ。

