もはや「グレー」では済まされない段階に来ている
2社間ファクタリングについては、長い間「グレー」「注意が必要」「慎重に使うべき」といった曖昧な言い回しが繰り返されてきました。しかし、制度の構造と実態を冷静に整理すれば、もはやそのような表現で逃げる段階ではありません。
2社間ファクタリングの多くは、実質的に合法ヤミ金であり、典型的な脱法金融です。
形式は売掛債権の譲渡であっても、実際に行われているのは現金の即時交付と期日の確定返済であり、回収できなければ強い督促が行われます。資金の出し手は現金を渡し、利用企業は必ずそれ以上の金額を返す。この構造は、どう見ても短期高金利の貸付と同じです。
債権譲渡であるとか、遡及請求がないとか、そうした説明はすべて規制を逃れるための形式論にすぎません。中身が貸金である以上、これは脱法金融そのものです。
売掛債権という建前が規制をすべて無力化している
2社間ファクタリングがここまで拡大した最大の理由は、「貸金ではなく売掛債権の買取である」という建前にあります。
この建前によって、貸金業登録は不要となり、利息制限法の上限金利も適用されず、取り立て規制も広告規制も事実上及ばなくなりました。本来であれば厳しく規制されるべき高金利金融が、「ファクタリング」という言葉に包まれるだけで野放しになっているのです。
実態を見れば、売掛先ではなく利用企業が事実上の返済義務を負い、期日に必ず資金を用意しなければならない。回収不能のリスクはほとんど業者側にありません。この時点で、債権売買という説明はすでに破綻しています。
手数料という言葉で隠された違法水準の高金利
決定的なのは、手数料の水準です。
2社間ファクタリングの手数料は、月利に直せば数パーセントから十数パーセントに達し、年利換算では利息制限法の上限を大きく超えます。もしこれが貸金であれば、ほぼすべてが違法金利になります。
それを「利息」ではなく「手数料」と呼び替えることで、合法の顔をしている。この言葉の置き換えこそが、合法ヤミ金と呼ばれる最大の理由です。違法な高金利を、契約形式と用語の操作で包み隠しているにすぎません。
この市場を本当に支えているのは金融機関である
さらに深刻なのは、2社間ファクタリング市場を実際に支えているのが、業者ではなく金融機関であるという点です。
一定規模に成長したファクタリング業者の背後には、金融機関系ファンドや銀行グループの投資ビークル、機関投資家の資金が入り込み、大量の債権が買われています。表向きは資産運用商品であっても、実態は脱法金融への資金供給です。
銀行は表ではコンプライアンスと健全経営を掲げ、裏では合法ヤミ金に資金を出して高利回りを得る。この二重構造がなければ、2社間ファクタリング市場はここまで拡大しなかったはずです。
これは業者だけの問題ではありません。金融機関自身が、この脱法金融市場の成長を積極的に支えてきたのです。
違法認定が出た瞬間に起きる連鎖的な損失
ここで最も重要なのは、金融機関側が抱えているリスクです。
もし将来、裁判や法改正によって「2社間ファクタリングは実質貸金である」「手数料は利息であり違法である」という判断が明確に示された場合、現在流通している大量の債権は一斉に無効または大幅減額の対象になります。
過払い返還請求が発生し、回収は止まり、保有債権は一気に不良資産に変わります。その損失を被るのは、現場の業者ではありません。その債権を買っている金融機関系ファンドや投資家です。
つまり、合法ヤミ金で利回りを稼いでいた金融機関が、合法ヤミ金が違法と認定された瞬間に最大の敗者になる構造になっています。これは時限爆弾と呼ぶほかありません。
それでも金融機関が黙認を続ける理由
それでも金融機関がこの市場から手を引かない理由は極めて現実的です。
高利回りで、短期回収で、表面上は延滞率が低く、形式上は合法である限り、非常に魅力的な運用商品だからです。違法認定が出るまでは、誰も責任を取らなくていい。業者は「合法だと思っていた」と言い、ファンドは「形式上は債権だった」と言い、銀行本体は「直接関与していない」と言う。
責任は常に分散され、最後に損をするのは投資家と利用企業だけです。この構図は、過去のサラ金バブルや仕組債、不動産小口化商品の破綻と本質的に同じです。
2社間ファクタリングは金融機関自身の足元を蝕んでいる
2社間ファクタリングは中小企業を壊す制度であると同時に、金融機関自身の資産運用の健全性を静かに内側から壊しています。
合法ヤミ金に資金を出し続けるという行為は、爆弾を自分のバランスシートの中に抱え込むのと同じことです。爆発する日がいつ来るのかは分かりません。しかし、爆発しないと本気で信じている金融関係者がいるとすれば、それこそがこの問題のいちばん危険な点だと言えるでしょう。

