2社間ファクタリングの実効年利が異常な水準に達する理由は、名目手数料だけでは説明できない。前回見た通り、紹介料はすべて利用企業の負担として価格設計に組み込まれ、表に出ない利息として積み上がっていく。
しかし、問題はそれだけでは終わらない。
この市場には、さらにもう一段深い「第二層の利息」が存在している。
紹介料は一回では終わらない
紹介料の特徴は、単発ではなく、継続取引と結びついている点にある。
紹介業者が本当に儲かるのは、初回の紹介ではない。
同じ企業が、同じ業者を、何度も使い続ける過程である。
実務では、次のような取り決めが珍しくない。
・初回だけでなく、継続回数ごとに紹介料が発生する
・取扱額に比例して毎回一定割合が抜かれる
・業者変更が起きない限り、永続的に支払いが続く
この構造の本質は、紹介料が「仲介報酬」ではなく、実質的なロイヤルティに近い性格を持っている点にある。
一度紹介された企業は、その後何度取引をしても、見えない形で同じ第三者に金を払い続ける。
継続依存と実効年利の複利化
ここで、実効年利の問題は質的に変わる。
単発取引であれば、紹介料は一回分の上乗せにすぎない。
しかし現実には、多くの企業が、月次、あるいは隔週で同じ業者を使い続ける。
たとえば、月10%の手数料で12か月利用するケースを考える。
名目上は年120%である。
しかし、
・毎回10%の手数料
・そのうち15%が紹介料
・継続12回
この条件を正確に反映させると、単純な年120%では終わらない。
実際には、毎回の控除額が元本を削り、その削られた元本に対して、次の月も同率で手数料がかかる。
ここで起きているのは、紹介料込みの複利構造である。
名目手数料だけを年換算しても意味がない。
実際の負担は、紹介料を含めた控除後残高に対して、毎回再計算されていく。
その結果、表に出ていない実効年利は、200%、300%に近づくことすらある。
なぜ利用企業は気づかないのか
この構造が長年放置されてきた最大の理由は、利用企業が自分の実効年利を計算できない点にある。
理由は三つある。
第一に、紹介料が契約書に書かれていない。
利用企業が見るのは「手数料率」だけであり、その内訳は一切開示されない。
第二に、控除方式で処理される。
入金額が最初から減っているため、「いくら抜かれたか」が感覚的に分かりにくい。
第三に、継続利用による累積効果が見えない。
毎月の資金繰りに追われ、年間でいくら払ったかを集計する余裕がない。
結果として、利用企業は、
・月の負担率は把握している
・年の総負担額は把握していない
・実効年利は一度も計算していない
この状態で、取引だけが自動的に更新され続ける。
誰がこの構造を一番よく知っているのか
ここで重要なのは、この実効年利の正体を、誰が最も正確に理解しているかという点である。
利用企業ではない。
紹介業者でもない。
最もよく理解しているのは、業者自身と、その背後の資金提供側である。
業者は、紹介料を払ったあとの粗利を計算し、資金原価と照らして価格を設計している。
ファンドや資金提供者は、実効利回りを見て投資判断をしている。
つまり、
本当の年利は、内部では共有され、外には一切出ていない。
ここに、この市場の決定的な歪みがある。
違法認定が出たとき、どこが争点になるのか
もし将来、2社間ファクタリングが実質貸付と認定された場合、争点は単に「名目手数料が高いかどうか」では終わらない。
最大の争点になるのは、次の点である。
・紹介料を含めた実質利息はいくらだったのか
・それを業者は認識していたのか
・説明義務は果たされていたのか
過払い返還請求や無効確認訴訟では、裁判所は必ず、実質的な経済負担を見る。
そのとき、紹介料は、
・利息の一部と評価される可能性
・手数料の仮装と評価される可能性
・第三者を使った利息隠しと評価される可能性
いずれの方向でも、業者側に極めて不利に働く。
結論――実効年利の本当の正体
2社間ファクタリングの実効年利が異常なのは、単に手数料が高いからではない。
本当の理由は、紹介料という不可視の利息が、継続取引と結びつき、複利として増殖していく構造にある。
この市場で発生しているのは、高金利ではない。
計算されない金利であり、開示されない金利であり、利用企業だけが最後まで知らされない金利である。
そして、その負担を、最後まで黙って引き受けているのは、常に同じ主体である。
利用企業だけが、知らないまま、計算できないまま、毎月、静かに払い続けている。

