2社間ファクタリングの実態は『ヤミ金』そのもの。被害者もヤミ金を利用する感覚で利用している

ファクタリングの違法性と契約について

1 クリックひとつで終わる審査

検索サイトで「売掛金 即日 資金化」を入れると、洗練されたLPがずらりと並びます。所在地は丸の内、梅田、博多駅前。写真にはガラス張りのオフィスが映り、受付にはブランドスーツ姿のスタッフ。フォームに売掛金の金額と入金予定日を打ち込めば、担当者から「本日中にご融資――いえ、買取が可能です」とメールが戻ります。

2 クラウド上で交わされる“売買”

契約書はPDF。電子署名を付けるだけで完了です。必要書類は請求書データと通帳の写し。顧客はビデオ通話で本人確認を済ませ、スマホで承諾ボタンを押します。相手が顔を見せ、社名入りの背景を映しているので安心感がある――しかし、そこで終わりです。顧問税理士に相談する時間はありません。

3 “譲渡”を装う高利の貸付

買取率は七割台。残りは手数料とリスクヘッジ名目。期日が来て売掛先が支払わなければ、利用者が肩代わりする条項が小さく記されています。買戻し義務、遅延損害金、追加手数料――呼び名を変えた利息が重なる構造は、ヤミ金の“二重三重取り”と酷似します。

4 被害者の自覚

「銀行は時間がかかる。ここなら即日で振り込まれる」。食品卸を経営する男性は、ウェブ会議でそう説明を受け、自ら電子印鑑を押しました。「高いとは思ったけれど、ヤミ金に頭を下げるのと同じ感覚だった」と振り返ります。業者のサイトには「金融商品ではなく債権売買」と明記。言葉としては合法、肌感覚では違法。

5 掛け目の落とし穴

表向きリスクを負うのは買い手と言いつつ、掛け目で大幅に額面を切り下げ、なおかつ償還請求権を残す――業者はほぼノーリスクで高利を得ます。法律家は「掛け目が過度で、リスクが一方的なら貸付と認定されやすい」と指摘します。もし裁判でこの点が争われれば、過払い返還の扉が開く余地があります。

6 システム化された依存

手数料で手元資金が削られ、翌月も同じサイトで“買取”申請を繰り返す――ブラウザ上で完結する自転車操業。借り換えの手間さえ省かれ、依存は深まります。画面の裏に潜む実質年利を計算しないまま、クリックの回数だけ背負う負債が増えていきます。

7 行政の情報は届かない

金融庁や消費者庁は注意喚起を更新し続けています。それでも検索の上位は広告枠で埋まり、利用者の視界に入るのは「最短即日」「秘密厳守」のキャッチコピー。ビジネス街の住所と整ったウェブサイトが先入観をくつがえし、「まさかヤミ金ではないだろう」と油断を誘います。

8 抜け出す鍵はデータの保存

メール、チャット、電子契約のログ――すべてクラウドに残ります。この記録を整理し、掛け目の合理性とリスク配分を検証すれば、実質貸付の根拠が浮かび上がります。証拠の散逸が少ない分、かつての路地裏より立証の余地はむしろ広がっています。

9 結び

ガラス張りの受付もスタイリッシュなLPも、実態を覆い隠す仮面にすぎません。原則として、2社間ファクタリングは構造的にヤミ金と同一と認識すべきです。クリックひとつの手軽さは、闇金業者の貸付票を差し出す素早さと変わりません。『売掛債権の売買』という言葉の奥に、高利貸しの本質が眠っている――その事実に気づけるかどうかが、利用者を救う最初の分岐点なのだと切実に感じます。