以前から感じていたことではありますが、ファクタリングには法律的な枠組みが明確にないことが、現場での不安や混乱につながっていると痛感しています。

ファクタリングのトラブル

私は中小企業の経営者として、資金繰りの苦しさと向き合ってきました。銀行融資が思うように受けられない中で、ファクタリングは数少ない選択肢のひとつでした。債権を売却して現金化できるという仕組みは合理的で、急場をしのぐにはありがたいものでした。

けれども、取引を重ねる中で、ファクタリングを取り巻く環境には危うさがあることに気付き始めました。

最初に契約した業者は、親身に話を聞いてくれて、手続きも迅速でした。手数料は10%と高めでしたが、即日入金というスピード感に助けられたのも事実です。ただ、その後に別の業者を利用しようとしたとき、同じ「ファクタリング」と名乗っているにも関わらず、内容や対応がまったく異なることに驚かされました。

契約書の書き方、債権の確認方法、回収時の通知義務の扱い、それに手数料の決め方まで、業者ごとにばらばらなのです。

ある業者では、売掛先への通知が必要とされ、別の業者では不要だと言われました。契約の途中で「実質は貸付なので利息制限法が適用される」といった話をされたこともありますが、こちらとしてはファクタリング契約として申し込んだはずです。どこに線引きがあるのか、自分では判断できませんでした。

結局、契約書の中身や取り扱い方に明確なルールがないことで、同じサービスを受けているつもりでも、リスクの内容がまるで違っていたことに後から気付くことになります。法的な位置づけが曖昧なため、トラブルになっても自分の契約がどのように扱われるか予測が立たないのです。

特に問題だと思うのは、悪質業者が入り込む余地が大きいということです。

私が知る限りでも、売掛先に直接「債権回収業者です」と名乗ってプレッシャーをかけるような手口や、買い取ったはずの債権を担保にしてさらに他社から資金調達していた業者もありました。いずれも「売買契約」ではなく、「実質的には貸付」と判断されてもおかしくない取引です。

しかし、現状ではファクタリングは「債権の売買」であり、貸金業法のような法規制が及びません。業者登録も不要ですし、利率や取引条件に関する明確な基準もありません。適正な手数料とは何パーセントなのか、利用者の保護措置としてどこまで説明が求められるのかも曖昧です。

だからこそ、経営者としては「まともな業者を見極める目」が求められるわけですが、それが簡単ではありません。紹介や口コミに頼るしかない現状では、見た目の印象やサイトの雰囲気で判断してしまい、結局、トラブルに巻き込まれるケースもあるのです。

ファクタリングという仕組みそのものは、決して悪いものではありません。むしろ、融資に頼らず資金調達できる選択肢として、中小企業にとっては非常に貴重です。だからこそ、最低限の規制が必要だと感じています。

登録制や報告義務、契約書の標準化といった制度が導入されれば、私たち利用者も安心して取引ができるようになります。違法業者を排除することにもつながりますし、正しく運営している業者にとっても信頼性が高まるはずです。

現時点では、トラブルが起きても自己責任の範囲で片付けられがちです。たとえば、契約書に「償還請求権あり」と書かれていても、それが何を意味するのかを理解できないまま判を押してしまうケースは少なくありません。

契約自由の原則のもとで、すべてを自己責任にするのは酷です。少なくとも、基本的な情報開示や説明義務が明文化されていれば、不要な誤解や損失を防ぐことができると感じています。

私自身は、何度かの試行錯誤を経て、ようやく信頼できる業者に出会い、現在は安定した関係を築いています。それでも、これまでに支払った手数料の総額を思うと、もっと早く、もっと安心して使える仕組みがあればと感じずにはいられません。

ファクタリングに法律がないという事実。それは、自由であると同時に、無秩序でもあるということです。その中で資金繰りに悩む企業が利用せざるを得ない現状が、今も変わらず続いているのだと、実感しています。