債権回収会社との違い

ファクタリングの違法性と契約について

ーファクタリングってサービサー免許なしで違法にならないの?

「債権譲渡」なのに取り立てをする矛盾

ファクタリングとは、本来、事業者が保有する売掛債権をファクタリング業者が「買取る」ことで資金化を図る手法です。その形式を取っていれば、法律上は「貸金」ではなく「売買」に該当するため、出資法や貸金業法の規制を回避できるとされてきました。

しかし、実際の「2社間ファクタリング」ではどうでしょうか。ファクタリング業者は売掛金の回収が滞れば、売掛先ではなく売却側(債権譲渡人)に返済を求めます。回収が完了するまで執拗に電話・書面での督促を続け、場合によっては訪問や訴訟提起にも及びます。

このような行為は、法律上「債権回収」と見なされます。ところが、ファクタリング業者のほとんどは、債権回収を業として行う「サービサー(債権管理回収業者)」の免許を持っていません。ここに大きな矛盾と違法性の可能性が生まれます。

サービサー法とその規制の意味

1998年に施行された「債権管理回収業に関する特別措置法」(いわゆるサービサー法)は、弁護士法との整合性や債務者保護の観点から、一定の条件下で民間企業が債権回収を業として行えるようにした法律です。

サービサーとして登録されるには、以下の条件が必要です。

  • 法務大臣の許可を受けた株式会社であること
  • 資本金5億円以上
  • 法務省所管で適切な業務運営体制が整っていること

この厳格な基準の下、許可を受けた業者だけが、サービサー業務、つまり第三者の債権を回収することが認められます。逆に言えば、これを満たさない企業が「業」として回収業務を行えば、弁護士法第72条やサービサー法違反に問われる可能性があります。

ファクタリングと「債権回収」の境界

ファクタリング業者は、あくまで「債権の所有者」になったと主張します。つまり、貸金ではなく売買契約に基づき債権を取得したので、自らの権利を回収しているにすぎないという立場です。

しかし、2社間ファクタリングでは「債権譲渡通知がなされていない」ため、売掛先(第三債務者)はファクタリング業者の存在を知りません。債権譲渡通知や承諾がなされていない限り、民法上、第三債務者に対抗できない状態です。つまり、法的にも「債権譲渡が完結していない」に等しい。

このため、ファクタリング業者が「売掛債権の所有者」としての回収ではなく、「旧債権者」である売却側に執拗な返済請求を行っているなら、それは事実上の債権回収業務にあたると解される余地があります。そしてこの行為は、サービサー法の枠外で行われていれば、違法ということになります。

実質は融資+違法回収=ヤミ金構造

多くの2社間ファクタリングでは、次のような特徴が見られます。

  • 債権譲渡通知をせず、実態としては表に出ない「貸金」構造
  • 債権者(利用者)への返済請求を強行
  • 手数料は年利換算で出資法上限(年109.5%)を大きく超える

これは明らかに、貸金業法・出資法の逃げ道を使ったヤミ金的構造です。

通常の貸金業者であれば、返済が遅れれば信用情報に登録されたり、一定の回収プロセスを踏まなければなりません。ところが、ファクタリング業者にはそのような制約がなく、「自由に」「非公開で」債権者を追い詰めることができてしまう。

さらに、手数料の名目で20%~50%もの金額を引かれ、実質的には元本を数週間単位で返済させられるケースも多く、これは「貸金」として年利換算すれば数百%に相当します。

出資法第5条では、年109.5%を超える利息を受け取ることは「刑事罰の対象」です。契約形態をいくら偽装しても、実態が「貸金」であれば、その規制を免れることはできません。こうした意味で、2社間ファクタリングは実質的にはヤミ金に他ならないのです。

なぜ摘発されないのか

ここで素朴な疑問が生まれます。なぜこのようなファクタリング業者が横行しているのに、行政が摘発しないのか。

その理由の一つは、契約形態が一見すると「合法」に見える点にあります。形式的には「売買契約書」が交わされ、「債権譲渡通知は出していないが将来出す予定」と説明されることもあり、グレーゾーンの中で営業がなされているのです。

また、利用者側も資金繰りに切羽詰まっているため、多少の高コストや違法性に目をつぶってしまいがちです。結果として、「当事者間で合意しているなら問題ない」という形で、行政も警察も積極的に動かないという状況が続いています。

しかし、過去には複数のファクタリング業者が出資法違反や詐欺罪で逮捕された例もあり、今後さらに社会問題化すれば、大規模な規制強化や摘発の流れは避けられないでしょう。

ファクタリングが本来果たすべき役割

ファクタリングという手法自体は、経済合理性のある金融技術です。特に医療報酬ファクタリングや3社間ファクタリングのように、債権譲渡通知を行い、透明性のある取引として成立しているものも存在します。

問題は、「形式上の売買」を口実にして、実質的には高利貸しを行っている業者が野放しになっていることです。ファクタリングが本来の機能を発揮するためには、法整備と監督体制の強化が不可欠です。

終わりに:今のファクタリング業者の正体

結論として、現在日本国内で広く展開されている2社間ファクタリングは、その多くが債権回収会社(サービサー)ではないにもかかわらず、違法な回収行為を繰り返している業者です。そして、その実態は、貸金業法・出資法に違反するヤミ金と大差ありません。

合法の仮面を被った違法金融。それが今の2社間ファクタリングの現実です。健全な中小企業支援のためにも、早急な法的整理と規制の強化が求められます。