ファクタリング審査に潜む「貸金的発想」

不存在債権は「詐欺か?」「不当原因給付か?」

継続性の審査は債権の審査ではなく、実質の貸付審査ではないのか?

表向き「債権買取」、実態は「与信審査」

2社間ファクタリングとは、企業が保有している売掛債権を第三者(ファクタリング会社)に売却し、資金を早期に得ることを目的とした取引です。本来、これは「債権譲渡取引」であり、金融庁の公式見解でも、一定の形式を満たしていれば貸金業には該当しないとされています。

ところが、現実にはこうした建前を大きく逸脱している事例が多く見られます。とくに一部のファクタリング会社が自社のウェブサイトに堂々と掲載している審査基準には、債権を「資産」として評価しているのではなく、まるで「借り手の信用」を見るかのような表現が多く含まれているのです。

たとえば、とある業者のホームページには以下のような文言が明記されています。

「ファクタリング審査では、売掛先との取引の継続性の長さを確認します。売掛金が一過性のものであり、継続性が認められないと審査に通らない場合もあります。」

一見して問題がなさそうに見えるこの文言ですが、これは債権の信用ではなく、売掛先と依頼企業の「取引関係の継続性」を見ている点に大きな問題があります。さらにいうと債権の内容そのものよりも、売主企業の営業状況や資金繰りを審査していることを意味しており、貸金的な与信判断と何ら変わらない性質を持っている証明です。

継続性審査=リスク評価=融資基準?

債権譲渡とは、過去の売上に基づく確定債権を対象とするものであり、将来の取引が続くかどうかは、本来、審査の対象とはなりません。債権のリスク評価において重要なのは、「売掛先が約定どおり支払う見込みがあるかどうか」であり、「その売掛先と売主企業が長く取引しているかどうか」は直接関係のない情報です。

したがって、「継続的な取引でなければ審査に通らない」という方針は、過去の債権の評価ではなく、将来の債権発生能力や取引の安定性に基づくものであり、これは本質的に融資の判断基準と同じです。銀行などが融資を行う際にも、「継続的な売上」や「安定した顧客」を重視するため、まさに貸金的視点からの与信判断が行われていると解釈せざるを得ません。

実際、同じページにはこうも書かれています。

「1回限りの売掛金や、対象となる売掛先と継続した取引がない場合などは、審査で不利になる恐れもあります。」

これはつまり、「今後も売掛債権が発生し続けるかどうか」が評価対象になっているという意味です。債権の譲渡において、このような将来の取引可能性を要件にすることは、本来のファクタリングスキームの枠を大きく逸脱していると言えるでしょう。

なぜ審査で継続性を問うのか?

こうした「継続性」を重視する背景には、ファクタリング会社が売掛債権の回収ではなく、売掛債権の存在そのものを担保に「資金を貸す」という構造が存在しているからです。たとえば、2社間ファクタリングでは、売掛先に債権譲渡の通知を行わないことがほとんどであり、回収は依頼企業が行う形を取っています。つまり、実際には売掛金を「譲渡」しているように見せかけながらも、売主企業が返済責任を負っているのです。

このような構造であれば、ファクタリング会社が取引の継続性を確認するのは当然といえば当然です。なぜなら、ファクタリング会社にとっての「返済源」は売掛債権の支払いではなく、「今後も継続して債権が発生し、そこから回収されること」に依存しているからです。これは資金回収の観点から、融資業務そのものとほぼ同一と見ることができます。

法的建て付けと運用のねじれ

金融庁はこれまで、2社間ファクタリングについては「債権譲渡取引」として貸金業には該当しないという立場を取ってきました。ただし、それはあくまで形式的に「債権を買い取っている」とされる場合に限った話です。実態としては、売主企業が返済義務を負い、しかも審査では将来の与信状況まで見ている以上、それは形式だけを残した「貸金」と呼んでも差し支えない状態です。

にもかかわらず、行政側はこれを「所管外」として問題視しないまま、現在に至るまで有効な規制を設けていません。そのため、事業者側はこの「グレーゾーン」を逆手に取り、「合法のファクタリング」を装いながら、実質的には高金利の貸付行為(ヤミ金)を行っているのです。

ヤミ金化する2社間ファクタリングの現実

こうした貸金的審査が平然と行われているにもかかわらず、ファクタリング会社は自らのHPで「うちは貸金業ではありません」と強調し、「違法業者の見分け方」などという記事を掲載することもあります。まるで正当性を訴えるかのような内容ですが、その一方で貸金業として当然の与信審査を行っているという点に、矛盾と欺瞞が生まれています。

審査内容を開示し、継続的な取引の有無を問い、売主企業の資金繰りにまで踏み込むという運用は、もはや債権買取ではなく融資業務そのものです。そうした中で、手数料として20〜30%を請求し、しかも返済が滞れば遅延損害金や追加請求が行われるケースも報告されています。

これが、かつてのヤミ金と何が違うのでしょうか。

まとめ:審査内容にこそ本質が現れる

ファクタリング会社の審査基準には、その事業者の実態が如実に表れます。「継続性の有無」や「一過性の債権かどうか」といった視点を持ち出す時点で、それは債権の価値を見ているのではなく、貸金と同様の論理でリスクを評価していると言えます。

本来、債権譲渡はその都度完結するものであり、継続性は要件ではありません。にもかかわらず、継続的な売掛金がなければ審査に通らないというロジックは、債権評価を装った実質的な貸金審査であると断言できます。

金融庁が本格的にこの問題に手をつけない限り、2社間ファクタリングのグレーゾーンは、今後もヤミ金的な温床となっていくことでしょう。