◆ 結論から言うと

不存在債権は「詐欺か?」「不当原因給付か?」

ファクタリング業者が特定金銭債権を根拠に「回収業務」を行うことは、原則として妥当ではありません
なぜなら、「特定金銭債権」とは本来、サービサーが取り扱うことを想定された債権であり、ファクタリング業者がこの概念を盾に、サービサー免許もなく回収業務を行うのは、法の趣旨に反する可能性が高いからです。


◆ 「特定金銭債権」とは何か

「債権管理回収業に関する特別措置法(以下、特措法)」において、サービサーが取り扱える債権は「特定金銭債権」に限定されています。ここには以下のようなものが含まれます:

  • 銀行・金融機関等の貸付債権
  • リース、クレジット債権
  • 金融商品取引業者等の金銭債権
  • 訴訟上の和解等で確定した金銭債権 など

この中に、たしかに「金銭の給付を目的とする債権で、金融機関等から譲り受けたもの」も含まれており、拡大解釈すればファクタリング会社が取得した売掛債権も該当しうるとの見方もあります。


◆ しかし、ファクタリング債権は「サービサーの対象債権」ではない

特措法は「他人の債権を回収する業務を、一定のルールに基づいて民間にも開放する」ことを目的に作られた制度で、前提として「他人の債権を取り扱う」ことに限定されています

一方で、ファクタリング業者が自らの資金で債権を買い取る「買取型ファクタリング」においては、形式上は「自己債権」となります。したがって、

  • 自ら取得した債権を自ら回収する限りは、特措法のサービサー免許は不要
  • しかし、実態として元債権者に回収義務を押し付けていたり、代理回収している場合は「他人の債権を回収」しており、弁護士法・特措法違反となる可能性がある

という構造になります。

そのため、「ファクタリング会社が特定金銭債権に該当するから合法」とする主張は法解釈として表層的であり、サービサー免許のない業者がその立場を根拠に堂々と回収行為を行うのは、妥当とは言えません


◆ 判例・実務上の取扱い

裁判例でも、「回収リスクをファクタリング業者が実質的に負っているか」が適法性判断の鍵になっています。

  • 回収を元の債権者が行っていた
  • 債務者への通知がなされていなかった(二者間)
  • 償還請求(リコース)が契約に含まれていた

こうした事実があれば、形式的には「自己債権」であっても実質は回収代行とみなされ、弁護士法72条違反(非弁行為)と判断されるリスクがあります。


◆ 結論(再掲)

ファクタリング会社が「特定金銭債権を保有しているから回収業務ができる」と主張するのは、法律の趣旨と制度設計を誤解した立場であり、妥当とはいえません
とくにサービサー免許を持たない業者が、他人の債権を回収したり、元の債権者にリスクを戻す契約内容を含んでいる場合は違法の可能性が高くなります