「救済弁護士」という立場──2社間ファクタリング問題の現在地

ファクタリングのトラブル

「2社間ファクタリングの被害者を救済します」──近年、こうした広告やウェブサイトを掲げる弁護士事務所が急増している。
だが、果たしてこの“救済”とは、どこまで依頼者の利益を守るものであり、また、2社間ファクタリングに対する彼らのスタンスはどれほど一貫しているのか。本稿では、その実態を掘り下げたい。

◆「2社間ファクタリング=違法」という一律の構図

2社間ファクタリングとは、売掛先に通知や承諾を得ずに、売掛債権をファクタリング業者に譲渡するスキームである。
銀行融資の審査に通らない中小零細企業や個人事業主が、手元資金を早期に確保する手段として利用している現実がある一方で、このスキームが貸金業法や詐欺罪に抵触する可能性を指摘する声も少なくない。

特に2020年以降、弁護士会や金融庁が注意喚起を強め、報道も相次いだことで「2社間=違法」という図式が半ば常識化した。その流れの中で、“救済”を標榜する弁護士たちが登場することになる。

◆救済弁護士の業務内容とスタンス

救済弁護士の主たる業務は、大きく二つに分類できる。
一つは、ファクタリング業者からの高額な請求(違約金・手数料・遅延損害金など)に対する支払い拒否や減額交渉。
もう一つは、場合によっては「ファクタリング契約そのものが無効である」と主張し、返還請求訴訟や損害賠償請求に発展するケースだ。

こうした活動の前提には、「ファクタリングを装った高利貸しである」という立場がある。すなわち、契約書上は売買だが、実態としては資金貸付であり、貸金業登録をしていない業者による違法行為であるというロジックだ。

この立場に立てば、債権譲渡契約は民法上の錯誤や公序良俗違反によって無効とみなされ、依頼者にとっては「借金を返さなくて済む」あるいは「支払済の手数料を取り戻せる」という展開が可能となる。

◆弁護士の限界──「救済」のグレーゾーン

しかし、注意すべきは「救済弁護士」と称する弁護士のすべてが、真正面から訴訟を受けて立つとは限らないという点だ。
例えば、訴訟リスクを恐れて業者と和解を勧めるケースや、形式上は“債務不存在確認訴訟”を提起するが、実際には減額交渉での妥協を前提としているケースも少なくない。

依頼者が期待する「全面的勝利(=返済義務なし+損害賠償)」とはならず、結局は「数十万円の減額」程度にとどまることもある。
また、弁護士費用が着手金+成功報酬型で設定されていることが多く、「救済のためにまた借金」という悪循環に陥る例も見られる。

◆「悪質性」の認定基準──弁護士の判断軸とは

ファクタリング契約が違法か否か、という判断は決して一律ではない。
弁護士は以下のような要素をもとに、契約の“偽装性”を判断している。

  • 譲渡対象債権の存在が不明確(実際には回収不可能)
  • 売掛先への通知が全くなされていない
  • 売掛債権の管理回収は依頼者のまま
  • 実質的に元本+利息の構造になっている
  • 実質年利が利息制限法を大幅に超えている(数百%)

これらが重なれば「貸金業法違反」→「契約無効」→「損害賠償請求」というステップに進むことが可能となる。
つまり、弁護士がどこまで依頼者の側に立って闘うかは、これらの違法性の濃淡、そして弁護士自身の姿勢と経験に大きく左右される。

◆まとめ──本当の「救済」とは何か

2社間ファクタリング問題は、単に違法か否かという法律論だけではない。
資金に困窮する事業者が「生きるために」選んだ手段であり、そこに付け込む業者の存在がある一方で、「被害者ビジネス」として“救済”を標榜する弁護士もまた、一種のマーケットを形成している。

依頼者が本当に守られるためには、表面的な“違法論”や“弁護士の広告”に頼るのではなく、契約の本質を見抜き、損得を冷静に見極めたうえで行動する必要がある。
真の「救済」とは、法的勝利以上に、経済的再起への道筋を築けるかどうかにかかっているのだ。