「ファクタリング業者を選ぶときは、金融庁の登録状況や認証の有無をチェックしましょう」
そんな一文を自社サイトに堂々と掲げている2社間ファクタリング業者がある。だが、この記述を読んで、まともな法知識を持つ者であれば、まず最初に突っ込むべき点があるはずだ。
そもそもファクタリング業は現行法上、金融業ではない。
したがって、金融庁の登録など必要ないし、そもそも登録制度そのものが存在しない。この前提が崩れているのに、あたかも「うちは登録しています、だから安全です」とでも言いたげな文言を並べている時点で、法令遵守どころか、法律の立て付けすら理解していないのではないかという疑念を持たれて当然だ。
いや、それ以前の問題だろう。
この業界に巣食う一部のファクタリング業者は、自らが営んでいるのが“非金融業”であることを良いことに、金融庁の監督下にない“野放しのグレーゾーン”で活動している。それでいて「コンプライアンスを守っています」「安心してご利用ください」などというのは、まさに盗人猛々しいと言うほかない。
たとえば、ファクタリングの名の下に事実上の貸金業まがいの取引を行っている業者は数多い。売掛債権の存在を確認しないまま架空債権を前提に資金を交付したり、実質的に利息としか思えない高率の「手数料」を要求したりする。これらは場合によっては貸金業法違反や出資法違反、あるいは詐欺罪にすら問われかねない行為だ。
しかし、2社間ファクタリングという仕組みを利用すれば、相手先(売掛先)に知られることなく契約ができるため、こうした不正が水面下でいくらでも行われる。つまり、“表向き合法”という衣を着たブラック資金業者が堂々と経済社会を跋扈しているのである。
このような現状において、金融庁の登録が必要ないからといって、「登録制度がない=好き勝手にやって良い」と解釈するような業者に、コンプライアンスを語る資格があるだろうか?
一言で言えば**「笑止千万」**である。
しかも、そうした業者がよく使う常套句が、「ファクタリングは合法的な資金調達手段です」「法的に問題ありません」「債権譲渡なので貸金には当たりません」といった言葉だ。
だが、こうした主張の裏には、自らの商慣行が“ギリギリ合法に見えるように”工夫されたものであることを隠しているケースが多い。
たとえば――
- 2重譲渡をしてしまったら「横領罪」で刑事告発される
- 支払が滞れば、事前に押印させた債権譲渡通知書を使って取引先に内容証明を送り、事実上の“企業破壊”を仕掛ける
- 20~40%の手数料を「資金化費用」と称して取り立て、数週間で再度利用を強要することで“借金漬け”にする
こうした手法が“合法”であるとでも言うのだろうか。
たしかに、条文に触れていなければ「違法ではない」かもしれない。しかし、合法と適法、そして正義はまったく別物だ。
このような実態を放置したまま、「当社は法令遵守に努めています」「内部監査体制も整備されています」と宣言することの滑稽さに、本人たちは気づいていないのだろうか? あるいは、わかった上で「コンプライアンス」という言葉を都合よく濫用しているだけなのか。
業者が「法令遵守」を語るのであれば、まずは自身の行為を顧みるべきである。金融業ではないからといって、監督官庁がいないことを良いことに違法スレスレの行為を正当化し、トラブルになれば「利用者が悪い」「契約内容に同意したではないか」と開き直る。こんな者たちに、他人のコンプライアンスを語る資格など一片もない。
たとえば、金融庁の公式見解では、2020年の国会答弁において「2社間ファクタリングについては、取引実態によっては貸金業と見なされる可能性がある」と明言されている。また、各地の弁護士会でも、こうした契約の多くが実質的な貸付行為であるとして、繰り返し警鐘を鳴らしている。
にもかかわらず、いまだに「ファクタリングは金融業ではないから安全」「合法です」と謳い続けている業者が、法令遵守を口にするのは、もはやブラックジョークに等しい。
利用者は、こうした表面上の美辞麗句に決して騙されてはならない。
「金融庁の登録状況を確認しよう」などと書かれたその一文にこそ、その業者の知識の浅さ、または確信犯的欺瞞がにじみ出ているのだ。

