~アフィリエイトの言葉に踊らされるな~
近年、ネット上で目にするようになった「ファクタリングに強い弁護士に相談を!」という文言。特に2社間ファクタリングに絡む相談窓口をうたうアフィリエイトサイトでは、「暴力的な取り立てを即日止める」「過払い金が戻ってくる」「弁護士が代理交渉してくれて安心」など、耳障りのよい言葉が並ぶ。しかしこの種の宣伝文句の背後には、冷静に見なければならない複数の問題が潜んでいる。
まず最も大きな違和感は、「暴力的な取り立てがあることを前提として弁護士介入の効能を強調している」点である。サイト本文中には次のようにある。
「特に暴力的な取り立てに悩んでいる人はすぐにでも相談した方が良いでしょう。」
このような言葉が平然と記される時点で、実質的にこのアフィリエイトサイトは、ファクタリング業者が日常的に“暴力的な取り立て”を行っているという前提で構成されている。これは誤認誘導であり、一般の読者に対して過剰な不安を煽る手法である。ファクタリング業者が「貸金業者ではない」という立場を取っている以上、「債権譲渡契約に基づく通知・請求」を行うことは制度上認められている行為であり、仮にその手段が不当であれば、それは暴力行為としてすでに警察案件である。弁護士以前の問題だ。
さらに、次のような記述も見逃せない。
「実際に弁護士に相談したことで取り戻せたという人は数え切れないほどいます。」
このような表現に、明確な統計的根拠はない。何人中何人が「一部でも返金を受けられたのか」、どのようなファクタリングの態様で返金がなされたのか、重要なディテールが一切欠落している。「数え切れないほどいます」と言っておきながら、根拠も引用も一切ない――典型的なアフィリエイト的誇張表現である。
さらに問題は、弁護士の選び方に関する記述にも見られる。曰く、
「単純に有名だから、テレビに出演しているからという理由で弁護士を選ぶ人がいますがそういう理由で選ぶのは避けましょう。」
この部分は一見もっともらしく見える。だが、次に続くのは、
「ファクタリングに対応している弁護士がいるところがおすすめです。…場合によってはどういう事例を解決してきたかなど実績まで一目で分かるところがありますがそういうところが良いでしょう。」
結局のところ、「実績がある」「実績が見える」弁護士を選べ、という“誘導”がある。では、何をもって「実績がある」とするのか?それはこの種のアフィリエイトサイトが仲介している法律事務所の広告文面でしかない。つまり、アフィリエイトサイトが“実績があるように見える弁護士事務所”へとユーザーを誘導し、そのクリック報酬を得ている構造なのだ。
つまるところ、この種のサイトの目的はただ一つ――**「債務者となった中小零細企業経営者の不安を煽り、その“困っている人”をクリックさせ、法律事務所に送客すること」**である。
送客が成立すれば、アフィリエイト業者は紹介料を得る。そして、場合によっては紹介された法律事務所から追加の報酬契約が組まれ、債務者はさらに費用を支払うことになる。
その一方で、この種の弁護士が実際にどれだけ「ファクタリングに関して勝訴的和解や判決を勝ち取っているか」については明らかにされていない。重要なのは、たとえ相談をしても、債権譲渡契約が「貸金契約」と認定されるには高いハードルがあるという現実だ。
令和5年の大阪地裁判決(※過去の事例参照)でも、「形式上の譲渡であっても、実質的に貸金と認定されるには、ファクタリング会社が回収リスクを一切負わず、実質的に債務者に償還を請求している」といった明確な要件が必要であり、すべてのファクタリングが「過払い金請求の対象になる」わけではない。
にもかかわらず、アフィリエイトサイトは次のように述べる。
「過払い金請求によって払いすぎた手数料を取り戻せる可能性もあります。…一部でも取り戻せれば多少はダメージを抑えることにつながるでしょう。」
この「一部でも」「可能性がある」というあいまいな言い回しも、実に巧妙である。法律上の権利行使ではなく、損して元取れ的な“ギャンブル相談”を誘導しているにすぎない。
最後に、「費用の比較」や「複数弁護士のピックアップ」といった記述もまた、“選ばせているように見せかけて、特定のリンクへ誘導する”というアフィリエイトの常套手段である。実際には、選択肢はユーザーにあるように見えて、実際は特定の弁護士事務所へ誘導されている構造が背後にあるのだ。
■ 結論 ― 情報弱者を狙うビジネスの構図
この種のアフィリエイトサイトは、2社間ファクタリングという法的にもグレーゾーンが多く、なおかつ困窮した経営者が頼らざるを得ないジャンルに目を付けて、救済と称した広告収益モデルを構築しているにすぎない。
その構造は、「業者に騙されて困っている人を、今度は別の業者が拾いに来る」ような多重搾取の構図に酷似している。暴力的取り立てを止めると言いつつ、次に待っているのは“成功報酬型の弁護士費用”である。
いま求められているのは、アフィリエイトによる法的誤認誘導ではない。制度そのものに対する透明性と、行政による監督の強化である。そして、法的知識がない中小企業経営者が、二重三重の被害を受けないためにも、「無料相談」の裏に潜む広告の仕組みを、私たち一人ひとりが冷静に見極める必要がある。

