2社間ファクタリングは「合法の皮を被った高利貸し」だ
中小企業の資金繰りに付け込む、合法を装った高利貸しの温床──それが「2社間ファクタリング」である。見かけは売掛金の売買、だがその実態は「貸金業法逃れ」と断じられても仕方がない。
そして2020年、東京地方裁判所が下したある判決が、その仮面を容赦なく剥ぎ取った。
この記事では、2020年7月の東京地裁判決(令和元年案件)を引用しながら、「2社間ファクタリング」なるビジネスモデルの構造的問題と、その法的無効性を明らかにしていく。
◆ 「売買」ではない。これは“貸付”である
今回争点となったのは、企業がファクタリング業者に対して売掛債権を譲渡する形式を取ったが、回収不能時には売却元の企業が返金する「償還請求条項」や「瑕疵担保条項」が存在したケースである。
本来、ファクタリングとは**“リスクを買い取る取引”**である。債権が回収できるか否かは買い手(ファクター)の責任となるはずだ。ところが、2社間ファクタリングでは往々にして、「回収できなければ差額を支払え」「売掛先が倒産したら補填せよ」といった条項が含まれている。
これはまさに**“名を売買に偽装した貸金契約”にほかならない。東京地裁もこの点を的確に指摘し、本件ファクタリング契約は実質的に金銭消費貸借契約である**と断じている。
◆ 手数料=年率140%超!? 暴利そのもの
さらに注目すべきは、取引における「手数料」の実態である。
表向きは「手数料10%」のように見えるが、実際には資金調達期間が1〜2ヶ月程度であるため、**年率換算すると137%〜140%**という超高金利になる。
これは出資法・貸金業法の上限をはるかに超えており、完全に違法な利息水準である。にもかかわらず、貸金業登録をしていないファクタリング会社が、登録業者では到底許されない利回りを「合法」と称して手にしている現実がある。
本判決では、この異常な手数料水準が公序良俗に反するとして、契約の根本から無効とされた。つまり、2社間ファクタリングは、法の裏をかいた高利貸しの隠れ蓑であると、司法が明確に指摘したに等しい。
◆ 和解契約も「無効」──司法が突きつけた断罪
この事案では、債権譲渡後にファクタリング会社が「債権の一部しか回収できなかった」として、元の譲渡人に対して**「5,200万円の和解金」**を請求してきた。
だが、裁判所はこれを断固として退けた。なぜか?
- 和解契約とは、法的に「互譲」が前提条件である。だが本件のように一方が一方的に譲歩させられるような内容は、「和解」の要件を満たさない。
- さらに、その前提となるファクタリング契約自体が無効であれば、当然ながら和解契約も無効となる。
つまり、「無効な契約を元にした和解」もまた無効。
2社間ファクタリングにおいて「揉めた後に和解したから大丈夫」と思っている業者は、完全な誤解に基づいている。
◆ 2社間ファクタリングは構造的に違法性を孕む
今回の判決は、個別の契約内容だけでなく、2社間ファクタリングというビジネスモデル全体が抱える構造的問題に光を当てた。要点を整理しよう。
| 項目 | 実態 | 法的評価 |
|---|---|---|
| 債権のリスク | 売却元が負担 | 実質は貸金 |
| 手数料 | 年率換算100%超 | 出資法違反の可能性 |
| 登録要否 | 不要と主張 | 実態が貸付なら貸金業法違反 |
| 契約名称 | 債権譲渡契約 | 内容次第で無効判断 |

