2社間ファクタリングの業者たちは、いつも“冷静な顔”をして合法性を語る。
曰く、「これは債権譲渡契約にすぎず、貸金業ではない」「債権譲渡登記をすれば第三者対抗要件も満たされる」。確かに書類上はそのとおりかもしれない。
だが、そこには決定的な事実が抜け落ちている。
――それは“実態”の話である。
今回、名古屋総合法律事務所が公開した「ファクタリング契約と債権譲渡登記」に関する解説は、形式面においては丁寧な整理をしている。だが同時に、それは“2社間ファクタリングの持つ危険性”を覆い隠すものでもある。以下、詳しく論じていく。
◆ 債権譲渡登記=安全、ではない
このページでは、2社間ファクタリングの実務上のリスクとして「債権の二重譲渡の危険」を挙げている。そして、その対抗策として「債権譲渡登記制度の利用」を推奨している。
だが、これは問題の本質をすり替えた議論である。
問題は「誰が先に登記したか」ではない。
問題はそもそも、その契約が「貸付」なのか「売買」なのか、つまり契約の“中身”が偽装されている点なのだ。
どんなに形式を整え、登記を行い、通知を出していたとしても、
契約の実態が「貸金」ならば、登記ごと無効になる可能性すらある。
これを覆い隠して「形式さえ守れば大丈夫」とする態度は、極めて危うい。
◆ 登記制度の存在が逆に「合法感」を演出する
2社間ファクタリング業者の中には、「債権譲渡登記をしているから合法」と謳うところもある。実際、このページもそれを後押しするような論調になっている。
だが思い出してほしい。
詐欺商法も悪徳ヤミ金も、しばしば“法のスキマ”を突いてくる。
そして2社間ファクタリングも、まさにその構造に酷似している。
登記があるからといって、契約の内容が正当化されるわけではない。
“売買”と称しながら、売却元に回収リスクを押し付ける。
“融資ではない”と主張しながら、実質は償還義務付きの貸付である。
こうした契約が公序良俗に反して無効になる可能性は、過去の判例でも明らかである(例:東京地裁2020年判決)。
そのような違法性の根幹には触れず、「登記をしていれば安心」と説明することは、悪質業者に“合法ツール”を提供するに等しいのだ。
◆ 利用者を縛る“登記の罠”
もう一つ見逃せないのは、この登記制度自体が、利用者=売却元企業を縛り付ける道具として機能するという事実である。
債権譲渡登記を行うと、金融機関の与信審査にも影響が出る。つまり、「この会社は売掛債権を他人に売り払って資金繰りしている」という情報が公になるのだ。
これは一種の“信用毀損装置”であり、中小企業にとっては大きなダメージとなる。
にもかかわらず、ファクタリング業者はこれを平然と推奨し、「安全対策」とすり替える。しかも、契約の実態が“貸金”に近ければ、登記をされても貸金業法違反として無効になるリスクすらあるのだ。
◆ 法律事務所ですら“構造”を見ていない
本来、法律家は「形式」よりも「実態」を重視すべき存在である。
だが、この記事に見られるように、法律事務所ですら「登記」や「通知」といった形式面の話に終始し、契約の本質的な違法性には踏み込まない例が少なくない。
これは、ある種の“専門家の無責任”ですらある。
2社間ファクタリングの最大の問題点は、外見と実態がまるで違うことにある。
この点を見ずして、「登記していれば安心」などというアドバイスは、あまりに無防備である。むしろ、企業を法的地雷原へと誘導する行為に他ならない。
◆ 結論:形式に騙されるな。2社間ファクタリングは本質が“偽装”だ
2社間ファクタリングの危険性は、形式的な契約書や登記手続では隠蔽できない。
むしろ、それらの形式が整っていれば整っているほど、企業側は「これなら安心」と錯覚しやすくなる。
だがその契約は、
- 償還義務があり、
- 高額な手数料(実質年利100%超)を課し、
- 債権に瑕疵があれば全額請求される。
そうした構造の契約ならば、それはもはや**「貸金業者の仮面をかぶった闇金」**にすぎない。
債権譲渡登記や通知の手続きは、表面的な安全性しか担保しない。
それどころか、悪質な契約の「合法装置」として働く可能性すらある。
中小企業経営者は、「登記があるから大丈夫」などという甘言に決して騙されてはならない。

