「検索が闇を育てる」――2社間ファクタリングと情報操作の共犯関係

ファクタリングのトラブル

 中小企業の資金繰りを支援する――。一見、善意に満ちた言葉の裏で、いま「2社間ファクタリング」という制度の影が静かに広がっている。形式上は「売掛金の譲渡」であり、貸金ではないとされるが、実態は手数料を装った高利融資に他ならない。しかも、その多くが金融庁の監督外にあり、法の目をすり抜けて「合法ヤミ金」と化している。

 この仕組みの危険性は、単に高コストであることではない。問題は、法の空白と広告の倫理が結託する構造的な「制度の盲点」にある。資金に困窮する中小事業者は、「即日入金」「審査なし」などの広告文句を頼りに検索し、上位表示された“比較サイト”や“ランキング記事”に導かれる。だが、その多くは独立した第三者を装いながら、実際はアフィリエイト報酬で業者と利益を共有する「情報共犯構造」に組み込まれている。

 検索結果の上位に並ぶ「おすすめ」「安心」「審査通過率No.1」といった見出しの多くは、事実上の広告だ。中には“弁護士監修”を名乗るページもあるが、その実態は形式的な名前貸しにすぎない。こうして「安全に資金調達できる」と信じ込んだ事業者が、実際には売掛金の二重譲渡や過剰手数料請求のリスクを負わされている。検索エンジンとアフィリエイトの仕組みが、結果として“合法ヤミ金の呼び込み口”となっている現状は看過できない。

 さらに深刻なのは、行政の対応である。金融庁は「貸金ではなく売掛債権譲渡」との形式論から所管外とし、消費者庁も「事業者間取引のため特商法の対象外」として関与を避けている。中小企業庁は相談窓口を設けるのみで、監督権限は持たない。つまり、誰も取り締まらない「三重の無責任構造」の中で、実質的な金融取引が野放しになっているのだ。行政の沈黙は、結果として違法と合法のあいだにある“搾取モデル”を制度として温存させている。

 今や、検索結果の上位に現れる情報が、必ずしも「正しい」わけではない。そこには、SEOと広告技術が交錯する“誘導の設計図”がある。ユーザーは「比較記事」に安心感を覚えるが、実際には利益目的で構築されたランキングであることが多い。この構造は、金融リテラシーの低い事業者を狙い撃ちにする点で、もはや単なる広告問題ではなく、倫理の問題である。

 行政の役割は、もはや「形式の所管」を超えるべきだ。2社間ファクタリングを「貸金に準ずる金融行為」として再定義し、登録制と手数料上限の設定を行う必要がある。また、広告・比較サイトに対しては、報酬構造の明示義務と、金融関連キーワードにおけるステルスマーケティング禁止の強化を求めたい。情報空間を放任したままでは、社会的弱者を救うどころか、合法的に搾取する仕組みを助長することになる。

 ネット広告が社会構造を形づくる時代において、「金融」と「情報」を別の領域とみなすこと自体が時代錯誤だ。真に必要なのは、金融庁・消費者庁・総務省による横断的な監督と、検索広告を含む情報倫理の再構築である。検索が信頼の代名詞である限り、その結果に責任を伴わせなければならない。闇は業者ではなく、制度の隙間に宿るのだから。