二社間ファクタリング被害者の声 ― 西岡智彦さん(仮名)の証言

ファクタリングのトラブル

「弁護士が監修していると聞いて、信じてしまった」

私は京都で小さな運送会社を営んでいます。
軽貨物3台と、私を含めた3人の従業員。荷主からの入金が月末締めの45日後払いなので、常に資金繰りには気を使っていました。
燃料費や高速代の値上がりが重なり、現金が足りない月が続いたとき、ネット検索で見つけたのが「弁護士監修ファクタリング」という広告でした。

トップページには大きく「法令遵守・安心の資金調達」と書かれ、
下の方には「顧問弁護士〇〇法律事務所 監修」と記載。
顔写真付きの弁護士のコメントまで掲載されており、
「これなら大丈夫だ」と、心から信じてしまいました。

電話対応も落ち着いた男性で、言葉づかいも丁寧。
「弊社は紹介業です。資金調達に強い事業者をご紹介いたします」との説明に、
「なるほど、直接お金を貸すのではなく、間に入る形なんだな」と納得してしまいました。
私はすぐに申込フォームから情報を入力し、請求書のコピーや通帳の写しをアップロードしました。

翌日、「A社」という聞いたことのない事業者から連絡があり、契約書のPDFが送られてきました。
契約金額は80万円、入金予定額は56万円。手数料30%。
その瞬間に少し違和感はありましたが、すでに車検の支払いが迫っていたので、背に腹はかえられませんでした。

数時間後、確かに56万円が振り込まれました。
しかし同時に届いたメールには、「取引先への連絡確認を行う場合があります」「入金遅延時は債権譲渡の通知を行うことがあります」と書かれており、
ぞっとしました。
それまで私は「取引先には知られない」と思っていたのです。
問い合わせると、「規約に記載しておりますので問題ございません」と冷たく返されました。

結局、その後取引先の経理担当から電話が入りました。
「西岡さん、ファクタリングって…御社どうされたんですか?」と。
顔から血の気が引きました。
小さな会社です。そんな噂が広まれば、すぐに信用が落ちます。
まるで「資金に困っている会社」と見られるのが恥ずかしく、
荷主にも合わせる顔がなくなりました。

焦って紹介業者に連絡すると、
「当社はあくまで仲介であり、契約主体ではございません」「弁護士監修のもと適法に行っております」
という定型文のような返答だけ。
結局、誰も責任を取らない。弁護士の名前はサイトに出ていましたが、実際には監修料を払って名前を借りているだけだと、後で知りました。

そして数ヶ月後、また資金が足りなくなり、別のサイトに申し込みました。
しかしその業者も同じグループ。
結局、請求書を売っても半分しか手元に残らず、
毎月の資金繰りはどんどん苦しくなっていきました。
繰り返すうちに、年利換算で400%を超える“実効金利”になっていたことを、後で弁護士に指摘されてようやく理解しました。

思えば、あのとき「弁護士監修」と書かれていたことで、完全に思考停止してしまったのだと思います。
法律家の名前がある=安全。
そう信じたかった。
でも実際には、裏で複数の紹介業者とファクタリング会社がつながり、
紹介料・広告料を取り合う構造になっていたそうです。

いま思うと、あの広告は「安心」を装った罠でした。
法の名前を掲げながら、法のすき間を突く仕組み。
資金調達ではなく、信用を削り取るだけの取引でした。