Ⅰ. 信用社会の崩壊と「危険金融」の拡散
現代日本の金融社会は、一見秩序を保っているように見える。しかしその実態は、危険金融が静かに浸透し、経済の基盤を蝕んでいる。
危険金融とは、法の形式上は合法であるものの、実態は被害者の資金を奪う構造を持つ金融取引である。
ファクタリングやAIスコア融資など、行政や司法の目が届きにくい取引は、まさにこの「危険金融」の温床となっている。
多くの中小事業者や個人は、資金繰りの逼迫や信用不足から、仕方なくこれらに手を出す。
結果として、**「合法に見える闇金」**が現実の経済を支配してしまうのだ。
Ⅱ. 脱法金融 ― 法の隙間をつく手口
さらに問題なのは、単なる危険金融だけではなく、脱法金融という存在である。
脱法金融とは、法の抜け穴や未整備の制度を巧みに利用し、形式上は合法でも、実質的に高利貸しや不当な徴収を行う金融サービスのことを指す。
たとえば、契約書を「債権買取」と偽装することで、貸金業法の規制を回避する手口は典型的な脱法金融である。
行政は「法的には問題なし」として対応を後回しにし、司法は「契約が成立している以上、民事的に争うしかない」との判断にとどまる。
この制度の隙間こそが、脱法金融を社会に定着させ、被害者を追い込む温床となるのだ。
Ⅲ. 合法ヤミ金 ― 見えない搾取の正体
ここで登場するのが、合法ヤミ金という概念である。
合法ヤミ金は、脱法金融の中でも特に悪質な形態で、法的に摘発されにくいが、実質的にはヤミ金と同等の搾取構造を持つ。
契約は表向き正当であり、利息や手数料の名目も合法的に設定される。
しかし、返済不能に陥った被害者には、心理的圧力や契約上の不利条項を用いた“取り立て”が行われ、資金を吸い上げる構造が完成している。
つまり、形式上は合法でも、中身は完全な闇金であり、これが現代の金融社会に蔓延している現実である。
Ⅳ. 信用社会の再構築に必要な三本柱
では、この危険な構造から社会を救い、信用社会を再構築するには何が必要か。
以下の三本柱が不可欠である。
- 制度の透明化と法整備
- 危険金融や脱法金融の定義を明確化し、契約の形式にかかわらず規制可能な法整備を進める。
- 被害者救済を優先する視点で、司法・行政の対応を迅速化する。 - 情報公開と教育
- 危険金融や合法ヤミ金の手口を公表し、事業者・個人が自己防衛できる環境を整備する。
- 金融リテラシー教育を社会全体に普及させ、被害者が自己責任で追い込まれない仕組みを作る。 - 倫理的な広告・市場運営
- 広告やマーケティングにおける「第三者装い型サイト」やステルスマーケティングを規制し、情報の正確性を担保する。
- 脱法金融や合法ヤミ金を正当化するメディア慣行を改め、社会的責任を徹底させる。
Ⅴ. 結語 ― 「合法的悪」からの脱却
危険金融、脱法金融、合法ヤミ金――これらは単なる個別の問題ではなく、制度・司法・広告が絡み合った構造的問題である。
信用社会の再構築とは、単に法を作り直すだけでなく、社会全体で「形式より実態」を重視する文化を取り戻すことに他ならない。
被害者を生まない社会、欺瞞の通用しない社会を設計すること。
これこそが、現代日本における信用社会再構築の設計図である。

