——建前「債権買取」・実態「返済日管理」の地獄オペレーション**
返済日(※建前では“支払日”)の午後。
社内の空気はいつもピリついている。
理由は単純——誰かが“飛ぶ”からだ。
請負業の顧客が多い2社間ファクタリングでは、外注職人への支払いが重くのしかかり、資金繰りが毎月ギリギリ。そのため「次の請求書でジャンプできるか?」と平然と聞いてくる客も珍しくない。しかし、ジャンプ(借り換えに近い実質のロール)を繰り返せば、いずれ限界が来る。
そしてその瞬間が、突然訪れる。
◆14:15 電話が鳴らない——“飛び”のサイン
担当者が言う。
「あ、これ飛んだわ。」
返済日前後だけやたら電話に出てくる客が、返済当日に限って沈黙。
この時点で社内がザワつき始める。
◆14:17 上席の怒号:「坂本浩二、今日は22日だろ!前電(前もって電話)いれとけ!」
建前では「債権の売買」。
だが内部では毎日こうした指示が飛ぶ。
返済日管理が完全に“返済指示”として扱われているため、
- 顧客名は呼び捨て
- 返済日を「支払い日」ではなく「返済日」と呼ぶ
- 本来禁止されているはずの“返済督促”が常態化
という矛盾した状態になっている。
◆14:20 担当がまずやること:電話の連打(禅話→誤・正式は「電話」)
“禅話”という社内スラングで呼ばれるほど、執拗な電話を掛ける。
- 本人へ
- 家族へ
- 勤務先へ(建設業なら現場代理人まで)
- 取引先へ
- 外注職人にまで「坂本さんと連絡取れます?」と探り電話
ここまでやるが、建前上は債権買取業であるという“茶番”だけは守られる。
本人に電話するときだけは、
「◯◯会社さんの請求書の件で確認です」
と、あくまで“与信確認風”に装う。
◆14:32 即座に支払い督促の準備へ
返済日に電話がつながらない段階で、もう法務担当が動く。
- 支払い督促の申立書を即日作成
- 顧客の本名・旧住所・事業所を全て照合
- 過去に提出された本人確認資料を精査
これを返済日に出す業者も珍しくない。
建前の“売掛金買取”とは完全に矛盾する動きだが、内部では「これが普通」である。
◆14:40 国保の照会で“子どもの有無”を割り出す(違法スレスレ)
逃げられた時、最も効くのが“家族情報”。
国保や自治体情報から家庭状況を推測しようとする社もある(もちろん本来は照会できないが、噂レベルでは頻繁に出てくる実態)。
◆14:45 SNS・Instagramの“娘さんダンス情報”で心理的プレッシャー
SNS調査班が動く。
Facebook・Instagram・TikTok・X、あらゆるメディアで家族構成を探す。
そして返済者のスマホに一通のSMS:
「娘さん、ダンス頑張ってますね。今週返済の件です。」
言葉自体は脅迫に当たらないギリギリを攻める。
しかし内部の人間は言う。
「これだけで返済率は劇的に上がる。
本人に“家族を把握されている”と思わせたら勝ち。」
完全に闇金式の心理操作が横行している。
◆15:10 取引先へ“消費者金融を装った確認電話”
架空請求書(空売上)だけは絶対に避けたい。
そのため、保険会社や金融機関の“与信確認風”に装い、
「◯◯さんとのご請求の件で確認があります」
と、あたかも消費者金融の在籍確認のように電話する。
建前:売掛金の存在確認
実際:架空売上かどうかの探り
◆15:30 会社全体の空気が完全に“取り立てモード”へ
返済日が近づくと、顧客側も不安になり、“ジャンプの可否”を確認してくる。
「次の請求書で返済と相殺できますか…?」
しかし、裁判対策上“相殺禁止”がルール。
会社側は必ずこう言う。
「相殺はNG。あくまで新規買取です」
だが実態は、
新規買取=返済資金を貸しているのと同じ
という完全な“目クラ貸”構造。
そして、この日“飛ばれた”ことで、社内のボーナス査定や営業成績にも影響が出る。
そのため担当者の声は荒くなる。
「返せないのかよ!こっちは今日中に回収しないと数字が飛ぶんだよ!」
◆結論:2社間ファクタリングが“合法ヤミ金”と呼ばれる理由は、この瞬間に凝縮されている
- 返済日管理
- 取り立て電話
- SNS・家族調査
- ジャンプ融資(実質)
- 支払い督促の即日申立
- 名寄せ・照会・外注職人への接触
これらすべてが、“建前の債権買取”では説明不可能な行為だ。
内部の人間ほど、この矛盾がよく分かっている。
「貸してないと言え。
でも返済しろとは言え。」
この矛盾を維持するために、現場のスタッフは毎月地獄の返済日を迎える。

