ファクタリング問題の闇は、政治と行政の怠慢だけでは語れない。
情報のコントロール、世論の操作、そしてメディアの沈黙――これらが加わることで、被害はさらに拡大し続ける。
1) 実態はほとんど報道されない
中小企業や個人事業主がファクタリングによって追い詰められても、新聞・テレビ・ネットニュースの主要メディアは沈黙を続けてきた。
- 被害事例の詳細はほぼ紹介されない
- 「合法だから問題ない」という表現が横行
- 業者の自己正当化ページが上位表示され、誤った理解を助長
結果、世論は「ファクタリング=合法的資金調達手段」という誤解を抱き続け、被害者は孤立してしまう。
2) 「合法だから問題なし」という偽情報の拡散
多くの報道や解説記事は、表面的な法律形式のみを取り上げている。
- 「債権譲渡なので貸金業法は関係ない」
- 「業者が違法行為をしている証拠はない」
しかし、形式的合法性と実態の違法性を混同してはいけない。
実態は高額手数料・償還請求の強要・事実上の返済義務など、明確な搾取行為が存在している。
このギャップを無視したまま報道すると、世論は被害者を責める論調に傾きやすい。
「自己責任だ」「契約にサインした以上仕方ない」という声が、正確な情報に基づかないまま広まるのだ。
3) メディアの沈黙は加害構造の一部
報道されないことで、被害はさらに目立たなくなる。
これは単なる無関心ではなく、加害構造を維持する作用を持つ。
- 業者は自らの行為が公に批判されないことを利用し、新規顧客を勧誘
- 被害者は声を上げても注目されず、救済への圧力が弱まる
- 行政や政治は報道圧力が弱いことで、規制強化を先送りできる
言い換えれば、メディアの沈黙は業者と政治の共犯行為に等しい。
4) 誤情報の拡散が被害者を二重に苦しめる
合法風に装った業者の言い訳や自己正当化ページは、SEOや広告によって上位表示されることが多い。
- 「ファクタリングは資金調達手段」「違法ではない」
- 「業者の評価は高い」「手数料も適正」
これらの情報を鵜呑みにした中小企業が、再び被害に遭うケースも少なくない。
つまり、情報環境自体が被害者を量産する装置となっている。
5) 世論形成の失敗と影響
世論は、正確で十分な情報に基づいて初めて被害者支援や法整備に影響を与える。
だが現状では、
- 実態はほとんど知られていない
- 誤解を助長する情報が蔓延している
- 被害者の声は表に出ない
この状態では、社会的圧力は生まれず、業界と政治の放置が続く構図が固定化される。
6) メディアに求められる役割
- 被害実態の詳細な報道:金額、手口、回収方法、被害者の声
- 合法形式と実態の乖離の明確化:「合法だが実質違法」の構造を解説
- 警告としての情報発信:業者選定に関する注意喚起を全国に行う
- 行政・政治の責任追及:規制怠慢や放置の事実を報道し、公的圧力を作る
メディアは単なる情報提供者ではない。被害者の声を広げ、社会の正義感を促す役割を担うべきだ。
7) 結語:情報こそ武器
行政も政治も、業者も、情報が不正確であれば被害を拡大させる。
被害者に必要なのは、法的知識でもなく、行政窓口だけでもない。
正確な情報、そしてそれを広く伝えるメディアの勇気と責任こそ、最前線の武器である。
今、沈黙を破り、誤情報と無関心に立ち向かうことができなければ、
被害はさらに拡大する。
被害者の血と涙を見殺しにする社会が続く限り、誰も救われない。

