「媒体責任を問うための法的ルート」―“書いて逃げる者”を表に引きずり出すための実務戦略
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アフィリエイト媒体は、従来「広告主が悪い」「自分は外部ライターだ」「単なるランキング情報だ」などで逃げていた。
しかし現在は、
法改正により逃げ道がほぼ塞がった状態
であり、法的に追及できるルートは明確に存在する。
以下、その全体系。
■1 最重要:景品表示法(ステマ規制)による“広告主と媒体の共同責任”
●ポイント
2023年の景表法改正で、「事業者が第三者の表示に関与した場合、すべて広告とみなす」というルールができた。
アフィリエイト媒体は、ほぼすべて以下に該当する:
- 金銭・成果報酬を受け取る
- 掲載順位を報酬で操作
- PR表記を意図的に隠す
- 「独自調査」を偽装
した時点で、媒体は
➤ 表示内容の“事業者”とみなされる
つまり、「広告主の広告だから自分は関係ない」は完全に通用しない。
●追及ルート
- 消費者庁への申出
- 都道府県の景表法担当部局への申請
- 行政指導 → 調査 → 課徴金の可能性
アフィリエイト側は「自分は第三者です」では逃げられない。
■2 民法上の不法行為責任(虚偽情報・誤認誘導)
ランキング系アフィ記事は、“あたかも客観的に選んだように装う記述”が特徴だが、ここに重大な法的弱点がある。
●成立要件
- 虚偽または誤認誘導表現がある
- 媒体に故意または過失がある
- 読者(被害者)の行動を誘発
- 損害発生との因果関係
特に過失のハードルは低く、以下の状況で簡単に成立する:
- “調査をした”と書きながら実際はしていない
- 業者から提供された情報を丸呑み
- 独自ランキングの根拠が存在しない
- 償還請求権なし(ノンリコース)と誤認させる
- “最短即日で資金調達可能”の虚偽表現
これらはすべて
➤ 媒体側の過失責任が成立する典型例
■3 広告主との“共同不法行為”の追及
アフィリエイトの構造上、次の論理が成立する:
「媒体が偽情報を流し、業者がそれを利用して契約を取る」この場合、両者は 共同不法行為者 として
●連帯責任で賠償義務を負う
(民法719条)
つまり、媒体を訴えれば広告主も巻き込まれ、広告主を訴えれば媒体も巻き込まれる。
逃げられない仕組みだ。
■4 特商法(表示義務違反)ルート
特商法は「広告媒体」を直接規制しないが、「事業者の広告に該当する第三者表示」が認められた場合、実質的に媒体も責任を問われる。
●典型違反
- 誇大広告
- 実在しない優良性の記述
- 不実証広告規制に抵触
- 誇張した“利用者事例”
- 実際は存在しない比較データ
これらはすべて違法。
アフィ媒体は「書いて逃げる」ことができず、広告主と一体で行政指導を受ける。
■5 “ステマ表示義務違反”の直接追及
2023年以降はPR表記を隠す行為自体が違法になった。
アフィサイトで最も多い手口は次の3つ:
- PR表記を目立たない場所に置く
- 記事の後半に小文字で表記
- スマホ版で意図的に非表示
これらはすべて
➤ 誤認惹起を目的とした違法表示
媒体側は「うちはPRと書いていた」では逃げられない。
■6 電気通信事業法(ステマ型広告規制)ルート
2023年施行の改正で、
「提供主体を偽る広告」 が禁止された。
- ランキングを“編集部独自”と偽装
- 第三者の客観的評価と装う
- 実態はアフィ報酬の高い順に並べる
これらは“主体偽装型広告”として規制対象。
アフィ媒体は
- ステルス性
- 誘導性
- 虚偽の優良性
のいずれかがあれば摘発対象になる。
■7 消費者裁判手続特例法(集団訴訟)ルート
重大なのはここ。
ファクタリング被害が「同一表示(同一記事)によって誘発されている」場合、媒体は
●集団訴訟の対象
になりうる。
※事業者被害でも“消費者に準じる立場”と評価される余地はある。
「誤認誘導された企業集団」
という構造が成立すれば、訴訟の射程に入る。
■8 プロバイダ責任制限法(免責の崩壊)ルート
かつてはアフィサイト側が「外部ライターの投稿だから責任なし」「単なる情報提供なので免責される」と主張したが、今は通用しない。
●理由
- 媒体が記事を選択し、構成し、報酬を受け取っている
= “情報発信の主体”そのもの - 虚偽の情報を掲載している場合は
“明白性”が認められるため、削除要請を拒否できない - 削除しない場合は
プラットフォーム責任(運営者責任)が成立
■9 最強の追及ルート:
「アフィ媒体=事業者」と認定させる
ステマ規制以降、もっとも破壊力のある指摘はこれ:
●アフィリエイト媒体は “事業者による広告行為の一部”
と法的に認定される。
これによって:
- 景表法
- 特商法
- 電通法
- 民法不法行為
- 共同不法行為
- 行政指導
- 課徴金
すべての射程に入る。
媒体はこれを恐れているため、
法律論を突きつけると崩れる。
■10 まとめ
アフィリエイト媒体の責任は、現行法制において“多重包囲”されている。
特に効くのは以下の順:
- 景表法(ステマ規制)
- 民法(虚偽情報・共同不法行為)
- 特商法(不実証広告)
- 電通法(主体偽装)
- プラ責法(削除責任)
- 集団訴訟ルート
逃げ道はもはや存在しない。

