2社間ファクタリングは、表面上は「債権売買」であり、貸金業ではないとされてきた。
だが実態は、売掛金を担保とした高リスク短期資金の供給スキームであり、本質的には「実質融資」であることを、多くの事案が示してきた。この“実質貸付”が、**監督逃れの金融(シャドーバンキング)**として他領域へ拡散している点こそ、現在最も重大な論点である。
とくに問題なのは、
① ノンバンク系ファクタリング会社
② SPC(特別目的会社)
③ 大手金融グループによる社債スキーム
が三位一体となり、**「貸金業規制の外側で金利収入を得る装置」**として確立し始めていることである。
■1 疑似貸金モデルとしての2社間ファクタリングは、既に“転用可能なテンプレート”になっている
2社間ファクタリングの本質は数年前から変わらない。
- 名目は「債権譲渡」
- 実質は「短期・高利回りの資金供給」
- 審査は実質的に“債務者ではなく利用企業”に向いている
- 償還不能時は「買戻し」や「返金義務」を要求する
これは、金融庁が真っ先に規制すべき実質貸付の典型形態である。
だが行政が“ファクタリング=貸金ではない”という形式論に固執することで、
このモデルが別分野へ輸出可能なテンプレートとなり、複数の領域へ波及している。
例:
- SaaS企業の売掛債権の「割引→実質融資化」
- 建設業・医療報酬債権の「ファクタリング名目の短期貸付」
- 個人事業主向け“給与ファクタリング”焼き直し
- 電子商取引のBtoB決済を利用した擬似貸金
つまり、今や2社間スキームは、
**「貸金業法を回避しつつ高利回りを得る装置」**として、
汎用的に応用されているのである。
■2 SPC・社債スキームによる“利回り保証”が、シャドーバンキング化を加速させた
近年もっとも危険性が高まっているのは、
ファクタリング会社がSPCを介して社債を発行し、
大手金融グループや機関投資家がこれを買うことで利回りを確保する構造である。
これは次のように整理できる:
- ファクタリング会社が債権を買い取る(実質貸付)
- その資金源をSPCによる社債発行で調達
- 大手金融グループが社債を購入し、無リスクのように利回りを享受
- 実質的リスクは中小企業とファクタリング会社に転嫁
つまり、金融グループは“手を汚さず”、
貸金業法を回避した隠れた高利回り商品を取得している。
これは典型的な**シャドーバンキング(影の金融)**であり、
本来なら金融庁が最優先で監視すべき構造である。
にもかかわらず監督は及ばず、
むしろ「形式が債権譲渡ならOK」という行政の姿勢が、
この構造の膨張を事実上“許容”している。
■3 行政が放置すれば、疑似貸金スキームは最終的に「消費者領域」へ波及する
貸金規制を逃れたビジネスモデルが、
高利で困窮者を狙う領域へ進むのは歴史の必然である。
実際、
- 給与ファクタリング
- 立替払い名目の個人向け即日融資
- サブスク未払金の“債権買取”名目の融資化
など、すでにファクタリングスキームの“個人向け版”は複数発生している。
行政が実質規制を加えない限り、
2社間モデルで蓄積されたノウハウは、
必ず消費者金融領域へ流用され、
違法スレスレのモデルが量産される。
これは2000年代前半の「グレーゾーン金利」時代と同じ道筋である。
■4 2社間ファクタリングをシャドーバンキングとして捉え直す必要性
本質的に必要なのは、ファクタリングを民法の債権譲渡としてではなく、
**金融規制の観点(実質貸付・実質的利回り)**から再評価することである。
- 実質金利の算出
- リスク移転の実態
- 資金の出し手(金融グループ)の実質的関与
- SPC・社債による実質的“ファンド化”
- 回収不能時の「買戻し」要請の有無
- 融資のように反復継続して資金提供しているか
これらを評価すれば、2社間ファクタリングは疑似貸金であり、
金融庁の監督対象とすることは法律的にも十分に可能である。
■5 結論:行政が“形式主義”を維持する限り、シャドーバンキングは拡張し続ける
行政が“ファクタリング=債権売買”という名目のみに依存し続ける限り、
このスキームは次のように拡大を続ける:
- 中小企業向け → 業種横断的
- ノンバンク → SPV → 金融グループ
- 事業者向け → 個人向け
すでに兆候は明確であり、
今抑えなければ近い将来、
「規制の縫い目を突いた高利金融」が社会問題化する。
その“元凶”がどこにあるかと言えば、
まぎれもなく行政の実質判断回避と監督の不作為である。

