1. 表向きの責任主体は「広告主」だが、それでは足りない
金融広告の原則論では、第一義的責任は広告主(=金融サービス提供者)にあります。
しかし、AI検索時代では次のような構造が生まれています。
- 広告主
- アフィリエイター(比較サイト・ランキングサイト)
- 広告代理店
- 検索エンジン・AI検索提供者
- 生成AI(要約・推薦・自動回答)
この中で、「誰が最終的に利用者の意思決定を歪めたのか」が不明確になります。
広告主だけに責任を押し付ける設計は、すでに破綻しています。
2. AI検索が作る「責任なき推奨」
AI検索の最大の問題点はここです。
- 「広告です」と明示されない
- 「おすすめ」「最適」「安心」といった評価語をAIが生成する
- 出典が複数に分散し、責任の帰属先が消える
つまり、
誰も“勧誘していない”のに、強力な勧誘効果だけが残る
という異常な状態です。
これは従来の
- 金融商品取引法上の勧誘
- 景品表示法上の表示主体
- 特定商取引法上の広告規制
いずれの枠組みからもすり抜けやすい。
3. プラットフォームは「中立」を装っているが、本当に中立か
AI検索事業者・検索プラットフォームはこう主張します。
- 我々は情報を整理・提示しているだけ
- 最終判断はユーザー
- 表現内容は自動生成
しかし実態は、
- アルゴリズムが露出順位を決め
- 学習データが価値判断を内包
- 商業的契約(広告・提携)が結果に影響
しています。
これはもはや単なる「掲示板」でも「検索窓」でもありません。
機能的には、金融勧誘の一部を代替している。
4. 本来問われるべき「共同責任」の考え方
AI検索時代の金融広告では、責任は単独主体ではなく、連鎖的・共同的に負うべきです。
整理すると:
- 広告主
内容の真実性・適法性 - アフィリエイター/比較サイト
誘導構造・ランキング操作 - 広告代理店
表現設計・規制回避の関与 - AI検索・プラットフォーム
表示ロジック・推薦設計・広告性の不明確化
特にAI検索提供者は、「金融に影響を与える推奨を行っている」以上、金融規制の射程外に置き続ける合理性はありません。
5. 行政が問われているのは「知らなかった」ではなく「放置したか」
最も深刻なのはここです。
- 問題が起きていることを
- 行政も把握しているのに
- 既存法に当てはまらないとして
- 何も措置しない
この状態が続けば、次に問われるのは
AI検索を通じた金融広告の野放しを、行政は黙認したのか
という「行政不作為」の問題です。
まとめ(この問いの本質)
AI検索が拡散する金融広告において、
- 法律上の責任主体は分断され
- 実質的な影響力は集中し
- 利用者保護だけが取り残されている
責任主体は「誰か一人」ではなく、この構造そのものを許容している全員です。
このテーマは、次に進むなら自然に
- 「広告とAIが金融規制を空洞化させる構造」
- 「行政不作為はいつ成立するのか」
へと接続できます。

