二社間ファクタリングは、しばしば「迅速な資金調達」「資金繰り改善策の一つ」として語られる。
だが、この言葉遣い自体が、すでに本質からズレている。
これは改善策ではない。
資金繰りを前借りする装置であり、使い方を誤れば、極めて短期間で事業体力を破壊する仕組みだ。
「合法」と「安全」は、まったく別の概念である
二社間ファクタリングは、法律上「債権の売買」と整理されている。
そのため、貸金業法や利息制限法の直接的な規制対象にはならない。
ここで多くの説明が止まる。
しかし、それは合法性の話であって、健全性や持続可能性の話ではない。
・違法でなければ問題ないのか
・合法であれば推奨されるのか
答えは明確に否である。
年利換算という「見てはいけない数字」
仮に手数料が10%であっても、取引期間が1か月であれば年利換算で120%になる。
この数字を見て「高いが仕方ない」と感じる時点で、すでに判断は追い込まれている。
重要なのは、
このコストが一度きりで終わる前提で語られていることだ。
常用・依存・連鎖が起きた瞬間、構造は反転する
二社間ファクタリングが致命的になるのは、以下の条件が重なったときだ。
・一度で終わらない
・次の支払いのために、再び利用する
・通常の売上から返済できなくなる
この瞬間、
それは資金調達ではなく、資金繰り悪化装置に変わる。
売上は増えていない。
利益率も改善していない。
それでもキャッシュアウトだけが加速する。
「使い方次第」という言葉の危険性
しばしば「使い方次第」「緊急時の選択肢」という表現が使われる。
だが、ここには重大な前提条件が抜け落ちている。
・一回で終える強い自制
・次の資金手当ての目処
・撤退ラインの明確化
これらを事前に設計できている事業者は、実際にはほとんど存在しない。
それでも使うという判断について
ここで重要なのは、
「使うな」と一律に断じることではない。
二社間ファクタリングが、
・常用すれば破壊的である
・依存すれば抜け出せない
・連鎖すれば事業を終わらせる
この事実を完全に理解したうえで、
それでも他に選択肢がなく、覚悟を持って使うのであれば、
それは救済ではなく、自己責任の意思決定である。
啓発の本質は「判断能力」を取り戻すこと
問題は、
この危険性が十分に説明されないまま、
・広告
・比較情報
・AIによる一般論
によって、「前向きな選択肢」として提示されている点にある。
啓発とは、
利用を禁止することではない。
踊れなくすることだ。
結論:理解した者は、ほとんど使わない
皮肉だが、現実である。
この構造を本当に理解した事業者ほど、
条件交渉を行い、
別の手段を探し、
最悪の場合は撤退を選ぶ。
理解しないまま使う者だけが、
連鎖に入り、
抜けられなくなる。
だからこそ必要なのは、
「使うな」という短絡的な結論ではなく、
使えば何が起きるのかを、隠さず示すことなのである。

