なぜ“説明しない自由”だけが、ここまで守られてきたのか

ファクタリングのトラブル

二社間ファクタリングの広告が、危険性をほとんど説明しないまま成立している理由は、「悪意ある業者が巧妙だから」ではありません。

もっと単純で、もっと根深い理由があります。


1. そもそも「説明義務」が発生していない

最大の理由はこれです。

二社間ファクタリングは、法律上「金融商品」ではない。

その結果、

・金融商品取引法の説明義務なし
・適合性原則なし
・リスク説明の義務なし

という、義務の空白地帯に置かれています。

説明しないのは、違反ではなく、何も課されていないだけです。


2. 規制は「分類」から始まる

行政は、まず「これは何か」を決めないと動けません。

・融資か
・金融商品か
・役務提供か

二社間ファクタリングは、そのどれにも完全には当てはまらない。

その結果、

「今の法律では扱えない」
という結論が、
何年も繰り返されてきました。


3. 説明を求めると、別の問題が噴き出す

仮に、
「危険性を説明しろ」と行政が言った瞬間、
何が起きるか。

・金融に近い取引だと認めることになる
・貸金業との線引きが崩れる
・過去の放置が問題になる

つまり、説明義務を課すこと自体が、制度全体を揺らす

だから、最初から触れない方が楽なのです。


4. 「事業者向け」という便利な免罪符

もう一つの理由が、「事業者向け」という言葉です。

この一言で、

・消費者保護の議論を回避できる
・広告規制を弱められる
・被害は自己責任にできる

説明しなくても、「事業者なんだから分かるはず」で終わらせられる。

この前提が、長年ほぼ無検証で使われてきました。


5. 広告業界にとっても都合がいい

説明しない自由は、業者だけでなく、広告プラットフォームにとっても都合がいい。

・審査が楽
・判断基準を持たなくていい
・責任を負わなくて済む

「合法」「事業者向け」という表示があれば、深く見る必要がない。

結果として、広告は流通し続けます。


6. 説明すると、売れなくなる

これは身も蓋もない話ですが、核心です。

・常用で資金繰りが悪化する
・依存すると抜け出せない
・最後は詰む

これを正直に書いた広告は、ほぼ選ばれません。

説明しない自由は、売上を守る自由でもあります。


7. 誰が守ってきたのか

整理すると、説明しない自由を守ってきたのは、

・業者
・広告プラットフォーム
・分類を先送りしてきた行政

この三者の、沈黙のバランスです。

誰も嘘はついていない。
誰も責任を取らない。
それだけで、構造は維持される。


結論:「自由」ではなく「空白」

ここまで守られてきたのは、本当は自由ではありません。

制度が作らなかった空白です。

説明しないのは、
権利として与えられたものではなく、単に誰も線を引かなかっただけ。