『実質貸付』という核ボタンを押した瞬間、二社間ファクタリングは制度ごと崩壊する

ファクタリングのトラブル

二社間ファクタリングが生き延びてきた理由は一つしかない。
それが「貸付ではない」と扱われてきたからだ。

逆に言えば。
一度でも「実質貸付」と公式に認定された瞬間、このモデルは終わる。

それは一業者の問題ではない。
金融、行政、司法、広告、情報流通までを巻き込む、制度的地殻変動になる。


二社間ファクタリングが生き延びてきた唯一の理由

二社間ファクタリングは、健全な金融商品として評価された結果、残ってきたわけではない。

ただひたすら、「貸付ではない」という建前を誰も壊さなかった

それだけで生き延びてきた。

だがこの前提は、極めて脆い。

「実質貸付」という一言が公式に認められた瞬間、このモデルは制度的に存在できなくなる。

それは是正ではない。
構造崩壊である。


1.最初に崩れるのは「貸金業法の適用除外」

実質貸付と認定された瞬間、真っ先に適用されるのが貸金業法だ。

・登録制
・業務規制
・金利規制
・行政監督

これまで「債権売買だから関係ない」としてきた業者は、一斉に無登録営業状態へ転落する。

問題は今後ではない。
過去の取引すら、違法性を帯び始める。


2.利息制限法が直撃し、「手数料」は一斉に違法化する

次に襲うのが利息制限法だ。

ここで致命的な転換が起きる。

・手数料 → 実質利息
・年利換算 → 法定上限超過

これまで「合法」とされてきた
10%、20%という数字が、一瞬で違法金利に変わる。

過払金返還。
不当利得返還。
損害賠償。

金融史で何度も見てきた光景が、再び繰り返される。


3.行政の「知っていて放置した責任」が一斉に浮上する

ここからが、本当の地殻変動だ。

実質貸付が認定された瞬間、
行政は必ず問われる。

・なぜ把握していながら是正しなかったのか
・なぜ注意喚起で済ませ続けたのか
・なぜ監督権限を行使しなかったのか

これは政策論ではない。
行政不作為の問題である。

過去のガイドライン。
見解表明。
国会答弁。

すべてが、事後的に検証対象になる。


4.広告モデルは「出した瞬間に違法」へ転落する

実質貸付認定は、広告業界を直撃する。

・「資金調達」
・「借入ではありません」
・「金利なし」

これらはすべて、誤認表示になる。

景表法。
業法広告規制。
プラットフォーム責任。

広告は出せなくなるのではない。
出した瞬間に違法になる。


5.検索エンジンとAIも無関係ではいられない

現代特有の問題も噴き出す。

検索結果。
Q&Aサイト。
AIによる解説。

「合法です」「問題ありません」「安心して利用できます」

これらは、虚偽または不正確な金融情報になる。

情報流通全体が、説明責任と再設計を迫られる。


6.司法も、もう逃げられなくなる

これまで裁判所は、次の言葉で逃げてきた。

・貸付とは言えない
・契約自由の原則
・個別具体的判断

だが、行政または上級審が「実質貸付」を認めた瞬間。

裁判所は逃げ場を失う。

・公序良俗
・違法原因給付
・不当利得

判例は、必ず動き出す。


7.なぜ誰も、この言葉を口にしないのか

答えは単純だ。

・業界が吹き飛ぶ
・行政責任が露呈する
・過去判断を否定することになる

だから誰も言わない。

「一概には言えない」
「実態に即して判断」
「注意が必要」

これは無知ではない。
意図的な沈黙だ。


結論:『実質貸付』は核ボタンである

実質貸付認定とは、一業者を摘発する話ではない。

・制度の否定
・行政の責任
・情報流通の再構築

すべてを巻き込む。

だから押されない。
だから触れられない。
だから曖昧なまま放置される。

しかし、放置の代償を払ってきたのは、常に弱い側だった。

この沈黙が、いつまで許されるのか。