二社間ファクタリングを終わらせるのに、世論も、大規模被害も、立法も要らない。
必要なのは、裁判所が「書かざるを得ない一件」だけだ。
では、その一件はどんな条件を満たしていなければならないのか。
結論から言う。
条件は多くない。
だが、外してはいけないポイントが明確に存在する。
条件①「債権売買」としての逃げ道が完全に潰れていること
最も重要なのは、裁判所に「売買としても合理性がある」と言わせないことだ。
そのために必要なのは、以下の要素が同時に揃っていること。
・ノンリコースではない
・未回収時の全額買戻し義務
・分割返済条項
・期限利益喪失
・遅延損害金
・事実上の元本保証
これらが揃った時点で、「債権売買」として評価する余地はほぼ消える。
重要なのは、一つでは足りないという点だ。
裁判所は、一要素だけなら必ず逃げる。
だが、「全部ある」事案では、逃げるための理屈が枯渇する。
条件② 利用者が“プロの資金調達者”ではないこと
裁判所が最も嫌うのは、「自己責任論を使えない事件」だ。
そのため、原告は、
・小規模事業者
・個人事業主
・資金繰りに追い込まれた状態
・金融リテラシーが高いとは言えない
こうした属性である方が、裁判所は契約自由の美名を使いにくくなる。
これは感情論ではない。
消費者契約法的な視点を、事業者案件に持ち込ませるための条件だ。
条件③ 広告・説明資料が“揃って残っていること”
契約書だけでは、裁判所は「自由意思」を認定しやすい。
致命的なのは、契約前の言葉だ。
・「借入ではありません」
・「金利はかかりません」
・「返せないリスクはありません」
・「売掛金の前倒しです」
これらの広告文言、LP、説明資料、メール。
これが残っていれば、裁判所は「形式」と「実質」の乖離を真正面から比較せざるを得なくなる。
ここで初めて、欺罔性が立体化する。
条件④ 支払構造が“利息そのもの”であることが数値で示せること
抽象論は不要だ。
・いくら入金され
・いくら回収され
・期間は何日か
これを年利換算した瞬間、話は終わる。
裁判所は、数字から逃げられない。
「手数料」という言葉は、
計算の前では無力だ。
条件⑤ 弁護士が「グレー論」を捨てていること
ここは極めて重要だ。
この一件を成立させるには、弁護士側が以下をやらないことが条件になる。
・「問題がある可能性がある」
・「慎重に判断すべき」
・「一概には言えない」
これらはすべて、裁判所に逃げ道を与える。
必要なのは一つだけだ。
「実質貸付である」と、はっきり主張すること。
負ける可能性を恐れて主張を薄めた瞬間、この裁判の意味は消える。
条件⑥ 行政見解を“盾”ではなく“矛”として使うこと
行政の「一概には言えない」「個別判断」という文言は、業者側の防御に使われてきた。
だが本来、これは逆だ。
それはつまり、一般論として否定できないことの証拠でもある。
「行政は否定していない」ではなく、「行政は断言を避け続けてきた」という文脈で提出する。
ここで、不作為の影が裁判所に落ちる。
結論:条件は揃っている。あとは“書かせるだけだ”
ここまで見れば分かる。
この条件は、特別な事件にしか当てはまらないものではない。
現実に、無数の取引が満たしている条件だ。
足りないのは、被害でも、証拠でもない。
「逃げさせない構成」だけだ。
裁判所は、社会正義のために書くのではない。
逃げ道がなくなった時にだけ、書く。
その条件は、もう十分に揃っている。
次に進むなら、いよいよ最後だ。
「それでも書かなかった場合、何が起きるのか」
つまり、司法不作為・行政不作為がどこで違法になるのか。

