社間ファクタリングは「資金調達」ではなく「資金前倒し依存」であるー資金が増えたように見える瞬間に、経営の自由度は確実に削られている

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「調達」という言葉が前提にしているもの

資金調達という言葉は、本来、将来の返済や対価を見据えつつも、現在の事業活動を拡張する余地を生む行為を指す。融資であれ出資であれ、そこには資金を投入することで事業の持続性や回復可能性を高めるという前提がある。少なくとも、資金を得た時点で選択肢が増えるという含意が含まれている。

しかし2社間ファクタリングで行われているのは、その逆である。将来確実に入ってくる売上を前倒しで切り崩し、しかも手数料という形で総額を減らした状態で受け取る。この時点で、事業の可動域は広がるどころか、むしろ狭まっている。それでも「調達」という言葉が使われることで、構造的な違いは意識から外されてきた。

実態は資金の前借りではなく、資金の先食いである

2社間ファクタリングは借入ではないと強調されるが、問題は形式ではない。重要なのは、将来のキャッシュフローをどのように扱っているかだ。売掛金は、まだ手元にないが、事業を継続していれば自然に回収される資金である。それを大幅に目減りさせた形で前倒しするという行為は、前借りというより先食いに近い。

一度先食いをすれば、次の月の資金繰りは必ず苦しくなる。なぜなら、本来その月を支えるはずだった売上が、すでに消費されているからだ。この不足を埋める手段として、再び前倒しに頼る。ここで依存が始まる。これは資金調達の連鎖ではなく、将来資金の切り売りの連鎖である。

なぜ「依存」になる構造を持つのか

2社間ファクタリングが依存を生むのは、利用者の判断力が弱いからではない。構造そのものが、継続利用を前提に成立している。単発で利用すれば資金繰りは一時的に改善するように見えるが、その改善は次の資金不足を内包している。その不足を解消する最も簡単な方法として、同じ手段が提示される。

しかも手数料は、利用回数が増えるほど累積的に経営を圧迫する。売上は変わらないのに、手元に残る資金だけが減り続ける。この状態に陥ると、事業者は「やめたいが、やめられない」局面に入る。ここまで来ると、それは選択ではなく依存である。

「調達」という表現が依存を正当化した

2社間ファクタリングがここまで広がった背景には、「資金調達」という言葉が果たした役割が大きい。調達と呼ばれることで、銀行融資や公的支援と同列に置かれ、比較対象として検討されるようになった。しかし実際には、性質がまったく異なる。

この言葉の誤用によって、事業者は本来すべき問いを持たなくなった。それは「この資金で何ができるか」ではなく、「この資金を失った来月をどう乗り切るか」という問いである。調達という言葉が、その問いを覆い隠してきた。

資金前倒し依存は、経営判断を静かに奪う

依存状態に入ると、事業者の判断基準は短期化する。今月をどう凌ぐかが最優先になり、中長期の改善策は後回しにされる。結果として、金融機関との対話も、再生支援の検討も遠のく。資金前倒し依存は、単に資金を減らすだけでなく、経営の時間軸そのものを破壊する。

この状態を資金調達と呼び続ける限り、問題の本質は見えない。2社間ファクタリングがもたらしているのは、成長のための資金ではなく、将来を犠牲にして現在を延命する仕組みである。その違いを明確に言語化しない限り、同じ誤解と同じ依存は繰り返される。