2社間ファクタリングの相談を受けていると、よく出てくる質問があります。
「銀行融資より高いのは分かっている。
年利換算したら何%になるのか。」
一見すると、冷静で賢い比較のように思えます。
しかし、この問い方には大きな落とし穴があります。年利換算という考え方そのものが、2社間ファクタリングの実態を覆い隠してしまうからです。
年利換算は「取引の性質」を無視してしまう
融資は「お金を借りて返す」行為です。
そのため、金利という概念が成立します。
一方で、2社間ファクタリングは次の形を取ります。
- 売掛金の売買
- 債権譲渡
したがって、取引の枠組みは次のようになります。
- 金利ではなく手数料
- 返済ではなく債権の譲渡
この性質の違いを無視して年利換算を行うと、論点がすり替わります。
そして、そのすり替えが業者にとって都合のよい土俵となります。
年利換算すると「高い」で済まなくなる
次の前提で考えてみます。
- 売掛金:100万円
- 買取額:90万円
- 手数料:10万円
- 入金前倒し期間:30日
この場合、30日で手数料10万円を支払ったことになります。
単純に 1 年を 12 か月として掛け算すると、120万円です。
100万円を得るために120万円のコストが発生する計算になります。
これは実質的に 年利120% に相当します。
この数字を見たとき、多くの経営者は次の事実に気づきます。
「高いか安いかの議論ではない」
ということにです。
年利換算は「合法ヤミ金」を正当化する話法になる
問題は、数字の大小だけではありません。
より大きな問題は、年利換算というフレームに乗った瞬間に判断力が鈍るという点にあります。
業者は次のように説明します。
「当社の年利換算は◯%程度です」
「他社と比べると安い水準です」
しかし、現実に発生するのは次のことです。
- 資金の前倒し回収による資金繰りの悪化
- 売上を恒常的に削り続ける構造
- 借入より重いキャッシュアウト
形式上は融資ではありません。
しかし、実態としては事業から資金を吸い上げる仕組みです。
そのため、現場ではこう呼ばれることがあります。
──「合法ヤミ金」
法形式だけを整え、金利規制の外側に立ち、資金が苦しい企業から優先的に資金を抜き取る。
名称がどうであれ、構造そのものは変わりません。
本当の論点は「高いか安いか」ではない
2社間ファクタリングを利用する経営者は、次のように考えがちです。
「少し高くても、今を乗り切れればいい」
しかし、実際に起きるのは別の事態です。
- 翌月も利用せざるをえなくなる
- 入金があっても現金がほとんど残らない
- 税金や仕入れの支払いが回らなくなる
- 慢性的な資金不足が常態化する
これは延命ではありません。
依存状態の固定化です。
その先には、
- 廃業
- 事業売却
- 個人破産
といった結末が、現実的な可能性として見えてきます。
まとめ──「年利換算した瞬間に負けが始まる」
2社間ファクタリングは、
- 金利という尺度では測れない
- 手数料という名の実質的搾取
- 資金繰りを改善しない取引
という性質を持ちます。
したがって、
「年利換算で何%ですか」
と尋ねた時点で、すでに業者側の土俵に乗ってしまっています。
本来問うべきことは、次の一点です。
「この取引はキャッシュフローを改善するのか」
それとも
「キャッシュフローを削り続ける契約なのか」
もし後者であるなら、それはもはや健全な金融サービスとは言えません。
**事業を静かに蝕む“合法ヤミ金的な構造”**です。

