2社間ファクタリングの相談を受けていると、よく聞く言い方があります。
「銀行から借りられないので、資金調達としてファクタリングを使っています」
一見すると、自然な表現に思えるかもしれません。
しかし、ここに大きな誤解があります。
誤った言葉遣いは、誤った経営判断につながります。
結論から言えば、2社間ファクタリングは「資金調達」ではありません。
それは、将来入ってくるはずの資金を前倒しで消費しているだけの行為です。
ここを取り違えると、資金繰りの悪化が加速します。
2社間ファクタリングは「手元資金を増やす手段」ではない
資金調達という言葉には、次のような前提があります。
・資金量が増える
・返済と金利という概念が存在する
・運転資金を厚くして体力をつける目的がある
銀行融資や公的金融制度は、この前提の上に成り立っています。
しかし、2社間ファクタリングはまったく別の性質を持っています。
売掛金を譲渡し、その対価を前倒しで受け取る取引です。
形式としては売買であり、実質的には「将来の入金を先に使う」行為です。
つまり、資金を新しく調達しているのではありません。
すでに発生している売上を前倒しで消費しているだけです。
将来のキャッシュフローを切り崩しているだけ
2社間ファクタリングを利用すると、当月の資金繰りは一時的に楽になります。
これは事実です。だからこそ多くの経営者が救われたように感じます。
しかし、その対価として何が起こるかというと、次の状態です。
・翌月に入るはずだった売掛金が減る
・手数料分だけ資金が目減りしている
・資金繰りの「谷」が翌月以降に移動する
そして、その谷を埋めるために再びファクタリングを利用する。
この繰り返しによって、資金繰りは慢性的に悪化していきます。
資金調達とは本来、資金の厚みを増やすものです。
2社間ファクタリングはその逆で、将来の資金を先食いしているだけです。
したがって、「資金調達」という言葉で呼ぶこと自体が不適切です。
言葉の誤りが判断を誤らせる
ここが最も重要な論点です。
2社間ファクタリングを「資金調達」と呼んでしまうと、心理的な影響が生じます。
・銀行融資と同列に考えてしまう
・一時的な活用なら問題ないと錯覚する
・手数料負担を金利の延長線で理解してしまう
そして本来問うべき問いが見えなくなります。
それは、「資金量が増えているのか」ではなく「将来のキャッシュフローを削っていないか」という問いです。
2社間ファクタリングは後者に該当します。
キャッシュフローを削る契約である以上、資金調達という分類には入りません。
まとめ
2社間ファクタリングは、次のような性質を持っています。
・形式は債権譲渡
・実質は将来資金の前倒し消費
・資金を増やすのではなく減らしていく構造
そのため、「資金調達」という名称で呼ぶのは適切ではありません。
むしろ誤解を招き、依存を固定化する危険があります。
本来、経営者が確認すべきなのは次の一点です。
この取引は、事業のお金を増やすのか。
それとも、将来の売上を削っているだけなのか。
もし後者であるなら、それは資金調達ではありません。
キャッシュフローを弱らせる契約です。

