2社間ファクタリングの実態──多重譲渡と「騙したことにされる」構造

不存在債権は「詐欺か?」「不当原因給付か?」

形式は取引、実態は罠に近い

2社間ファクタリングは「債権譲渡」という法形式をまとっています。しかし現場で起きている現象を見ると、取引と呼ぶにはあまりにも一方的です。とくに深刻なのが多重譲渡の問題です。資金繰りに追い詰められた企業が、同じ売掛金を複数の業者に譲渡してしまう事態が現実に発生しています。

もちろん多重譲渡が望ましいはずはありません。ただ、ここで問うべきなのは「なぜそれが起きるのか」です。資金繰りが極度に悪化し、正常な経営判断ができない状態に追い込まれているからです。そして、その状況に追い込んでいる要因の一つが、まさに2社間ファクタリングそのものです。

「知らなかったとして買い取る」業者の姿勢

2社間ファクタリング業者の中には、売掛金の実在や譲渡状況を十分に確認しないまま契約を進める者が存在します。スピードを売りにし、審査を最小限に抑えることを宣伝します。即日対応や最短数時間といった表現は、その象徴です。

つまり、リスクを承知で自ら進んで取引に入っていきます。ところが問題が発生すると態度が急変します。多重譲渡が判明した途端に、利用企業側へ責任を全面転嫁しようとします。そして、次のような構図を作ります。

「支払えなかったのは、あなたが騙したからだ」

自らの審査不足やスピード優先の姿勢には触れず、刑事責任の可能性だけを一方的に持ち出す。ここにこの取引の悪質性が凝縮されています。

経営者を「被害者」から「加害者」にすり替える

資金繰りに追い詰められている企業は、本来であれば支援や再生の対象です。しかし2社間ファクタリングの構造の中では、立場が逆転します。最も弱い立場に置かれた経営者が、最も強い非難の矢面に立たされることになります。

資金が不足し、相談先もなく、最後の手段として取引を利用する。そこで失敗した瞬間に「詐欺」という言葉が突きつけられます。これにより、経済的問題が一気に刑事問題へと変質します。事業再生の可能性は奪われ、社会復帰も困難になります。

この構造を支えているのが、2社間ファクタリングという仕組みです。形式上の合法性を盾にしながら、実態としては追い込まれた企業から資金を吸い上げ、トラブルが起きたときだけ「騙された」と主張します。

社会悪と言わざるを得ない理由

2社間ファクタリングは、単にコストが高い取引ではありません。被害の範囲が企業の資金繰りにとどまらず、次の領域にまで及びます。

経営判断が歪みます。決算数字が歪みます。納税や雇用に影響が及びます。さらに、刑事責任リスクまで経営者個人に押しつけられます。

ここまで影響範囲が広い取引を、単なる金融サービスとして扱うのは不適切です。社会の側が、「仕方ない自己責任」で片付けてよい領域ではありません。明確に問題のある構造として認識し、縮小させ、将来的にはなくしていく方向で議論する必要があります。

結論──2社間ファクタリングは止めなければ被害が拡大する

多重譲渡を生み出す環境を作り、刑事化のリスクを利用し、弱った企業から資金を吸い上げる。これが2社間ファクタリングの実態です。違法かどうかという議論以前に、社会的に許容できるかどうかという基準で判断するべきです。

答えは明確です。社会が責任を持って、縮小と廃絶の方向に動かなければなりません。