新年。AIに「ファクタリング 即日って?」と聞いてみたら

不存在債権は「詐欺か?」「不当原因給付か?」

新年が明けて、試しに生成系AIに「ファクタリング 即日って?」と尋ねてみた。返ってきた答えは予想よりもはるかに踏み込んだ内容だった。
そこには「最短30分で入金可能」「おすすめ業者一覧」「優良サービス」といった言葉が並び、即日ファクタリングを積極的に勧める文章が生成されていた。

さらに、スピードを優先するなら二社間ファクタリングを選ぶべきだという説明まで付けられていた。
この回答を見たとき、単なる情報提供では済まない重大な問題を感じた。


2社間ファクタリング推奨に潜む危険

AIの回答は整って見える。しかし、その整い方自体が危険である。

二社間ファクタリングは売掛先に通知せず取引が進む形式であり、取引の不透明さが高い。
形式上は債権譲渡契約であっても、実質は高コストの資金融通となるケースが多い。
それにもかかわらず、「即日」「簡単」「おすすめ」と並べられると、利用者は金融商品としての厳しい評価を忘れてしまう。

本来問い直すべきは、資金が入る速さではない。
将来のキャッシュフローを削り、経営を持続困難にする可能性があるかどうかである。


「おすすめ業者一覧」という形式が誘導になる

AIの回答には、具体的な業者名や手数料の目安、入金までの時間が表形式で示されていた。
この形式は、比較サイトや広告記事と極めてよく似ており、読み手に選択を促す導線になっている。

ここに二つの問題がある。

ひとつは、期間を明示しない手数料表示である。
「手数料〇%」と書かれていても、それが三十日なのか、七日なのか、一回あたりなのかで意味は大きく変わる。
短期間の手数料を年利換算すると法外な水準になることが多い。

もうひとつは、安心感や優良といった評価語が添えられている点である。
これらの言葉は利用判断を後押しする心理的効果を持ち、冷静なリスク評価を鈍らせる。


AIが社会悪を拡散してしまう時代になった

今回の出来事で最も重く受け止めるべき点は、生成AIが二社間ファクタリングを自然に推奨してしまうという現実である。
AIは広告主でも業者でもない。それにもかかわらず、業界宣伝に近い文脈を再生産する。

背景には、インターネット上に大量に蓄積された宣伝記事、比較サイト、誘導型コンテンツの存在がある。
AIはそれらを学習し、無批判に再構成する。
結果として、社会が本来抑制すべき金融スキームが、合理的に見える文章の形で拡散されていく。


二社間ファクタリングは違法でなくとも社会悪である

二社間ファクタリングは形式上、貸金業ではないと整理されることがある。
債権譲渡契約という建付けを利用することで、規制の網から抜けている構造がある。
そのこと自体が問題であり、違法でないから容認されるという話にはならない。

実務の現場では、資金繰り逼迫企業に対して高コストの前倒し資金化を繰り返し提供し、依存状態に陥らせる事例が見られる。
経営判断が短期化し、将来資金の先食いが常態化する。
利益は圧迫され、従業員や取引先にも負担が波及する。

これは個別企業の失敗や「自己責任」の問題として片づけられるべきではない。
社会全体で見れば、疲弊する中小企業をさらに搾り取る構造が温存されていることになる。


社会が責任をもってなくすべき対象

二社間ファクタリングは、表向きの契約形式と実質が乖離している。
その乖離があるからこそ規制をくぐり抜け、過大な負担を利用者に強いることが可能になる。
この構造を放置すれば、資金に困る事業者ほど高いコストを強いられる不公平が固定化される。

したがって、この問題は個々の経営者の選択の問題ではない。
制度と市場の歪みを修正するべき公共の課題である。
法制度の再整備、実質金利換算の義務化、広告規制、適正説明義務など、検討すべき論点は明確である。

二社間ファクタリングは、違法か合法かという狭い議論ではなく、社会悪として扱う必要がある。
社会が責任をもって、その役割を終わらせる方向に進めなければならない。