ファクタリング手数料の高さは、譲渡人の重い負担である
売掛金を現金化する手段として注目されているファクタリング。特に中小企業や個人事業主にとっては、資金繰りの選択肢が限られている中、銀行融資に代わる資金調達法として使われています。しかし、譲渡人──すなわち売掛金を売却する側の立場から見れば、ファクタリングの手数料は決して軽いものではなく、むしろ「必要に迫られて飲み込むしかない条件」に近いというのが実情です。
銀行融資とは違い、審査が早く、担保も保証人も不要。資金化のスピードも早く、緊急の支払いには重宝します。しかしその一方で、売掛債権を手放す対価として徴収される手数料は、一般的な金利水準と比べて非常に高く、利益の圧迫要因になっていることを無視することはできません。
たとえば売掛債権を100の価値として、それを90で買い取られるとすれば、手数料は10に相当します。これが数週間、あるいは1か月程度のサイトであったとしても、手元に現金を得る代償としてはかなりの負担です。実際に手数料率を公表している業者は少なく、事前説明が不十分なまま契約に進むケースもあり、譲渡人が十分に納得できないまま実行されてしまうことも珍しくありません。
なぜそれでも利用してしまうのか。それは、目の前の資金ショートを避けることが最優先だからです。従業員の給料、仕入れ先への支払い、家賃や光熱費といった固定費。すべての支払いは待ってくれません。特に下請け業者であれば、売掛金の支払いサイトが長い傾向にあり、数か月後の入金を待っていたら事業が立ち行かなくなるというケースもあります。
その中で、ファクタリングが「最後の選択肢」として持ち出されるわけです。もちろん、契約上は「売買」ですから、金利ではないと説明されます。しかし、実質的には融資と同様に資金調達の対価であり、しかもその割引率が高い。繰り返し利用すれば、その手数料分だけ事業資金が常に減り続ける構造になります。
加えて、契約のたびに発生する諸費用や、書類取得の手間、場合によっては債務者への通知や承諾が必要なケースもあり、精神的にも負担は小さくありません。継続利用によって資金繰りが「延命」される反面、手数料というコストは目に見えて蓄積していきます。実質的には、「手数料を払い続けるためにまた手数料を払う」という悪循環に陥ってしまう事業者も少なくありません。
さらに問題なのは、売掛債権を売却するたびに粗利益が削られ、原価高騰の影響と相まって利益を出しにくい体質になってしまう点です。これにより、次の仕入れや販促に使える原資が減ってしまい、事業の成長どころか維持すら難しくなるという本末転倒な状況に追い込まれます。
また、表向きは「審査が甘い」とされていても、実際には請求書の精査、売掛先の信用調査、書類の整合性チェックなど、多くの条件をクリアしなければ実行に至りません。時間に追われる中で、これらの作業が二重の負担になっている実態もあります。
そして、こうした問題に直面しても、譲渡人側には価格交渉の余地があまりありません。ファクタリング業者は手数料の水準を自社で定めており、選べる業者が限られる中で、取引実績や信用が少ない事業者ほど「割高な条件を飲まされる」構図になっています。業者によっては、初回の手数料を高く設定して、利用継続でようやく下げる方式をとっているところもありますが、最初の数回で資金繰りが厳しくなるリスクを、利用者が一方的に背負わされているといえます。
もちろん、ファクタリングそのものを否定するものではありません。緊急性が高く、他に選択肢がないときに資金調達できる手段としての価値はあります。ただし、その対価として支払う手数料は、想像以上に重く、長期的に見れば事業の体力をじわじわと奪う存在です。
制度としてファクタリングを活用するには、もっと譲渡人の視点に立った透明性と説明責任が求められます。手数料率の提示、利用後の改善アドバイス、継続依存しない資金繰りの相談支援など、長期的に健全な利用を目指す取り組みがなければ、結局は利用者が疲弊するだけの構造から抜け出せません。
私たち譲渡人にとって、ファクタリングは「救世主」であると言いきれません。手数料の高さという現実に目を背けず、事業体力を削り続ける前に、より根本的な改善策と向き合う必要があると感じています。
