新春Geminiに聞いてみた「2社間ファクタリング」総集編【前編】

不存在債権は「詐欺か?」「不当原因給付か?」

──AIはなぜ、ここまで“優しい回答”を量産するのか

新年が明けてから、何度か検索語句を変えながらGeminiのAIモードで「2社間ファクタリング」について問い続けてきた。
「ヤバイ」「危険」「違法性」「使っていいのか」。
どの問いに対しても、返ってくる答えには一貫した特徴があった。

違法ではない。
注意点を守れば使える。
悪いのは一部の悪徳業者である。

表現は違えど、結論はほぼ同じである。

しかし、その“安心感”の裏側で、決定的に抜け落ちている論点がある。
それは、2社間ファクタリングが合法でありながら、企業を壊す方向に機能している現実だ。

「国も推奨している」というAI表現の危険性

Geminiの回答の中で、特に違和感が強かった表現がある。
「国も売掛債権を活用した資金調達を推奨している」という一文だ。

これは、事実の断片だけを切り出した極めて危険な表現である。

国が制度として後押ししてきたのは、売掛債権の流動化全般であり、それは本来、3社間ファクタリングやABL、電子記録債権といった、透明性と回収確実性を前提とした仕組みを想定している。
売掛先に通知せず、回収を利用企業に丸投げし、高率の手数料を前提に即日資金化する。

この2社間ファクタリング特有の構造を、「国も推奨」という言葉で包み込むのは、事実の歪曲に近い。
AIがこの表現を使うことで、利用者はこう誤解する。

国が認めているなら問題ない。
制度として想定されているなら安全だ。

この認識こそが、依存の第一歩になる。

金融庁の注意喚起が“免罪符”になる瞬間

Geminiは必ずと言っていいほど、金融庁の注意喚起に言及する。
偽装ファクタリングに注意。
給与ファクタリングは違法。
怪しい業者を避けるべき。

一見すると、極めて真っ当だ。

しかし、ここにも構造的な問題がある。
それは、注意喚起が「ここまではOK」という線引きとして使われてしまうことだ。

金融庁が警告しているのは、明確に違法性があるケースである。
無登録の貸金行為。
実質的な利息制限法違反。

逆に言えば、それに該当しなければ「グレーではあるが合法」という空気が生まれる。

AIの回答は、その空気をさらに強化する。
違法でなければ問題ない。
注意点を守っていれば自己責任で使える。

結果として、合法だが有害な取引が、制度の外側で野放しになる。

これは免罪符の構造だ。

前編まとめ──AIは「社会悪」を判断しない

Geminiの回答は、法的には正確で、表現も穏当だ。
しかし、それは社会的な評価を一切しないという立場に立っている。

違法かどうか。
形式上どうか。
注意点を守っているか。

その枠の中でしか、答えを返さない。

だが、2社間ファクタリングが問題視されている理由は、
その枠の外にある。

合法である。
しかし、事業を壊す。

この矛盾に踏み込まない限り、AIの回答は、結果的に業界にとって最も都合の良い説明になる。