2社間ファクタリングに違法性はないのか。あらゆる角度から検証すると…
ファクタリングという資金調達手法が中小企業を中心に広まり、特に「2社間ファクタリング」は利便性の高さから利用者が増え続けています。一方で、この手法について「違法なのではないか」「実質は貸金行為ではないか」といった疑問が、利用者の間でも根強く存在しています。契約の当事者が2社のみで完結する点や、債務者の承諾を必要としない構造など、見た目にはシンプルでも、法的な位置づけは極めて繊細です。本稿では、2社間ファクタリングに違法性があるのかどうかについて、契約の構造、出資法・貸金業法・民法上の観点など、あらゆる角度から検証していきます。
そもそも2社間ファクタリングとは何か
通常、ファクタリングには「3社間」と「2社間」があり、3社間では債権譲渡の対象となる売掛債権の債務者にも通知と同意を得る必要があります。対して2社間では、売掛先(第三債務者)には知らせず、売掛金を保有している事業者(譲渡人)とファクタリング業者(譲受人)の間だけで契約が成立します。売掛金が入金されたら、譲渡人がその分を業者へ支払うことで完結する仕組みです。
この非通知型の設計により、売掛先に知られるリスクを回避できるというメリットがありますが、同時に法的グレーゾーンに足を踏み入れやすい構造でもあると指摘されています。
論点①:形式は「売買」だが、実質は「貸付」ではないのか
まず問題になるのは、契約書上は「売掛金の譲渡による売買契約」であるものの、実態としては「一定の手数料を取って資金を貸し付けているだけではないのか」という点です。特に、譲渡された売掛債権の管理回収は譲渡人に任され、資金回収後にファクタリング業者へ入金される構造は、貸付金の返済に類似して見えます。
これが「みなし貸付」と判断されると、貸金業法に基づく登録が必要になります。登録を受けていない業者がこのような取引を行えば、違法となる可能性があります。さらに、出資法上の上限金利(年20%)を超える手数料を取っていれば、刑事罰の対象にもなりかねません。
ただし、現時点では「一定の要件を満たしていれば、ファクタリングは貸金にあたらない」とする見解も多くあります。具体的には、
- 譲渡対象の売掛債権が存在し、確実に入金される見込みがある
- 債権の回収リスクをファクタリング業者が引き受けている(償還請求権がない)
- 契約があくまで売買であり、返済義務を明示していない
といった要素が重視されます。逆に、これらの要件を満たしていない場合や、書面上に「返済」や「返金義務」といった文言が含まれている場合、違法性が問われるリスクが高まります。
論点②:売掛債権の真正譲渡が成立しているか
もう一つの重要な視点は、売掛債権が法的に「真正譲渡」されているかどうかという点です。たとえ売買契約を結んでいても、譲渡された債権が架空であったり、二重譲渡されていたりする場合、その契約自体の効力が無効と判断されることがあります。また、債権が譲渡禁止特約付きである場合、通知や債務者の承諾なしに譲渡すること自体が制限される可能性があります。
さらに、2社間では第三債務者への通知や承諾が行われないため、対抗要件の具備にも慎重な配慮が必要です。民法改正以降、債権譲渡の対抗要件として法務局での登記が活用されるケースが増えていますが、未登記のままでは第三者対抗力を持たず、万一債務者が破産した場合に債権が保全されないリスクもあります。
論点③:債権譲渡登記を使った回避とその限界
一部のファクタリング業者は、2社間ファクタリングにおいても、法務局での債権譲渡登記を行うことで対抗要件を備え、第三者に対して優先権を主張できるようにしています。この手法により、譲渡の実態を明確にし、違法性を回避する工夫がなされています。
しかしこの登記自体が「実質は貸金だから、形式だけ整えて合法に見せかけている」との批判もあり、たとえば取引の反復性や手数料の割合、返済期日を定めるような契約条項が重なっていれば、形式だけ整えていても違法と判断される可能性があります。
論点④:裁判例に見る判断の分かれ目
日本国内では、2社間ファクタリングに関する明確な最高裁判決は存在しません。ただし、地方裁判所レベルでは、個別の契約内容や実態に基づいて、ファクタリング契約が「貸金」と認定された事例もあります。逆に、「これは債権譲渡による売買であり、貸付ではない」と判断された例もあるため、判断は分かれています。
重要なのは、契約の形式だけでなく、実態として何が行われていたのか──つまり、資金の流れ、回収の責任、リスクの負担、返済の義務、利益構造などの全体像から評価されるという点です。
結論:合法か違法かは“内容次第”であり、常にリスクがつきまとう
2社間ファクタリングが即座に違法となるわけではありません。しかし、合法であるためには、形式だけでなく実態も含めて、明確に「売買契約」であることを示す必要があります。もし形式上は売買でも、実質的に返済義務があり、しかも高率な手数料が設定されている場合には、出資法違反や貸金業法違反とみなされるリスクは決して小さくありません。
利用者としても、契約内容を十分に精査し、第三者譲渡への対抗要件が備わっているか、手数料率が常識の範囲か、そして何よりもファクタリング会社が貸金業登録を行っていないか──これらを確認する必要があります。
今後、2社間ファクタリングに関する法的整理が進む可能性もありますが、現時点では「グレーゾーンでの利用」であることを認識し、慎重に対応すべきであることは間違いありません。

